ジャパンラグビー2007トップリーグ マッチレポート

 


2007トップリーグ第2節マッチレポート(その2)

 


 今回は、前回の11月3日の文化の日、名古屋市の瑞穂公園ラグビー場で行われた試合のレポートに引続いて、「マッチレポートその2」として、同日、東大阪市の近鉄花園ラグビー場で行われた2試合のレポートをお伝えします。


11月3日(土) 近鉄花園ラグビー場 12:00〜 KICKOFF
コカ・コーラ
ウェストレッドスパークス

25
3 - 10

22 - 3
クボタスピアーズ
13

◎ マッチレポート
 前半6分クボタ自陣ラックからNO.8ケフが突破、FBマクイナリにつないでトライ、ゴール成功で7点先取、クボタの特徴を活かした攻撃でペースをつかむ、その後、クボタはキックで相手陣へ、そこでの密集で時間をかけ、あせるコーラの反則を誘いPGで加点、37分にコーラがPGで3点返し、3-10で折り返す。

 後半8分にコーラはラックから少ない人数で早くボールを出し、ワイドに動かして左中間にトライし追い上げる、16分、22分にそれぞれPGで加点しその後膠着状態に、ゲームが動いたのは30分過ぎ、31、33分とコーラが立て続けにトライし25-13と一気に勝負を決めた。

 スタートダッシュで外国人の突破力で得点し、突き放したかったクボタに対し、我慢のDFでしのいだコーラ、後半の早い時間でFBをジョーンズに替え、キックでFWを楽にし、後半の最後の最後の勝負に持ち込んだ向井監督の策が決まったゲームだった。


(写真1 コーラ、チャンスに大きく外へ展開)


(写真2 コーラ、全員で前へ!)


(写真3 空中戦を制したクボタ、ケフ)


(写真4 トライへ!クボタ根岸)

◎ 会見レポート
【クボタスピアーズ 山神 孝志監督】
 前節(三洋電機ワイルドナイツ戦)は荒天の影響もあり、ゲーム以外の事で集中できない部分もあり、やられてしまった。今日はチームとしての意思統一はできていたが、最後に競り負けてしまった。

(後半風上を利用したゲーム運びができなかったことについて)
山神監督:
 後半の入りが、シンビン(前半39分 FBマクイナリ)により14人でのプレーを余儀なくされたため、まず凌ぐことに主眼を置いてボールキープを優先させた。その上での敵陣勝負を意識していたのだが、相手が上だった。前節では同時に二人がシンビンであった状況もあったので、プレーヤーも注意をしていたと思うが、タックルの解釈でレフリーと見解が異なっており、その意味ではゲーム中の修正能力に甘さがあった。

【クボタスピアーズ 鈴木 力 キャプテン】
 最後に突き放される結果になり、非常に悔しい。日々チーム内で変革が起こっており、状態として上向きなのだが、個々がお互いを信じ切っていない。メンタル面での問題である。




【コカ・コーラウエストレッドスパークス 向井 昭吾監督】
 前半は我慢する場面が多かったが、後半勝負と踏んでいた。FW、BKともよくディフェンスしたと思う。今日のテーマはボールを動かすことだったが、良い出来だったクボタは前半の入りに優れているチームなので注意していたが、最小失点に近い形で折り返すことができた。クボタNO.8ケフについては、突破した後、繋ぐことに優れたプレーヤーなので、カラダをしっかり当ててDFするよう指示した。ジョーンズの投入は若干早めだったが、効果的なゲインを繰り返す等、正解だった。前節はケアレスミスから得点できず敗れたので、今日は、プレーの精度を上げることを意識した。
 今年のチームスローガンは‘進化’だが、アタック・ディフェンスとも、ひとつひとつ全力を尽くした結果が今日の勝利であり、ひとつの進化である。

【コカ・コーラウエストレッドスパークス 山口 智史キャプテン】
 先週敗れていたこともあり、今日は大事なゲームだったが、よく我慢したと思う。後半20分からが勝負と睨んでいたが、果たしてその通りだった。 前節は敵陣ゴール前で、FW勝負に固執したため得点できなかった。
 その反省を踏まえ、今日はボールを動かすことを強く意識し、得点を重ねることができた。






11月3日(土) 近鉄花園ラグビー場 14:00〜 KICKOFF
三洋電機ワイルドナイツ
  72
39 - 0

33 - 5
福岡サニックスブルース
5

◎ マッチレポート
 オーストラリア協会George・Ayoubレフリーの笛でゲームが始まった、開始早々に三洋の6番川口が左中間インゴールへ蹴りこまれたボールを押さえてトライ、これを皮切りに三洋は6トライの猛攻、何とかDFで立て直したいサニックス、ゲイン突破後にあえてポイントを作らずに外へボールを運ぼうとするも、ミスで波に乗り切れない、三洋の一方的なゲームで39-0で前半は終わった。

 後半に入り、サニックスは気持ちを切り替えて再々ゲインを突破するが、三洋の粘り強いDFに阻まれ逆にターンオーバーをゆるしてしまうパターンで5トライを兼上、34分にサニックスは三洋ゴール前ラックから右へ展開しトライ、何とか一矢報いたが、BKのボールキープ力に課題が残る。
 スコア的には大味なゲームになりがちだが、三洋の足首一本でもつかんで離さない低く粘り強いDFで非常に引き締まった好ゲームになった。


(写真1 たてを突く三洋ヒーナン)


(写真2 サニックス、低いスクラムでセットプレイに対抗)


(写真3 サニックス早いパスアウトで仕掛ける
[後方黄色いジャージーは、IRBレフェリーのアイユーブさん])


(写真4 三洋トライライン間近!)

◎ 会見レポート
【福岡サニックスブルース 藤井 雄一郎監督】
 今、トップリーグで一番調子の良いチームが三洋電機であり、我々より一枚も二枚も上手だったということ。
次節の東芝戦では、気持ちを切り換えて戦うしかない。

(ハーフタイムでの指示について)
藤井監督:
 もう一度ゼロからリスタートしようと指示した。具体的には、接点で人数をかけボールキープ率を上げる、ラインアウトでは、人数をかけず(ショートラインアウトで)展開に活路を見いだすよう指示したのだが。

【福岡サニックスブルース 古賀 龍二キャプテン】
 チャレンジャーの気持ちを持って、DFからゲームを組み立てようとしたが、こちらのペースに持ち込めなかった。

(前節コカ・コーラ戦との違いについて)
古賀キャプテン:
 コカ・コーラと三洋の違いはパワーだと思う。特にBKに於いてはボールキープ力に開きがあった。
 そう大きな力の差はないと思うが、前節の勝利で気の緩みがあった。




【三洋電機ワイルドナイツ 宮本 勝文監督】
 今日はDFが安定しており、何も言うことなし。

(05〜06シーズン 2位のチーム力と比較して)
宮本監督:
 ゲームプランが変わったということはない。‘ワイルド’なチームカラーにFWの力強さが加わった。積極的にDFに行くチーム力は頼もしさを感じる。過信せず、一本‘芯’の通ったチームになった印象がある。今日は、今までにない勝ち方だった。

【三洋電機ワイルドナイツ 榎本 淳平キャプテン】
 DFを的確に決め、前進することができた。後半粘られトライを獲られたことが反省点。上位チームになるほど、こうした状況で守りきることが大事である。2年前は勢いで2位となったが、今は個々が自信を持ってプレーしている。


(記事:北畑幸二、廣島治、写真:長谷川昭男)

(以上、文責:村島博)