ジャパンラグビー2007トップリーグ マッチレポート

 


2007トップリーグ第6節マッチレポート(花園)

 


 トップリーグも第6節と佳境に入り、順位争いも激しさを増してきました。12月8日土曜日、近鉄花園ラグビー場では、評判のこたつシートの観客も見守る中、熱戦2試合が行われました。以下、そのレポートをお伝えします。

12月8日(土) 近鉄花園ラグビー場 12:00〜 KICKOFF

日本IBM
ビッグブルー

17
12 - 15

5 - 24
ヤマハ発動機
ジュビロ

39

12月8日(土) 近鉄花園ラグビー場 14:00〜 KICKOFF

神戸製鋼
コベルコスティーラーズ

27
14 - 0

13 - 16
コカ・コーラ
ウェストレッドスパークス

16

◎ マッチレポート  日本IBMビッグブルー VS ヤマハ発動機ジュビロ
 ヤマハキックオフで、いきなりゲームが動く。キャッチミスしたボールをヤマハFL串田が拾い、ソトゥトゥ、大西とつなぎ中央にノーホイッスルトライ。GK成功し(0-7)、IBMの出鼻を挫いたかにみえたが、その後の動きは、互いに地に足がついていないのか、ミスを繰り返す。早い時間帯(4分)で1T(D-7)を返したIBMが集散でややヤマハを上回る展開だが、ヤマハも我慢のDFで応酬する。徐々につなぎのラグビーが出始めたヤマハだが、連続攻撃からのパスをIBM NO.8フィリピーネにインターセプトされ、50m独走、中央にT(GK成功12-7)。キックで敵陣に入ることを徹底するIBMに対し、展開力で勝負するヤマハだが、確実性でIBMが上回るゲーム展開。とはいえ、オープン攻撃を継続するヤマハが加点し前半を12-15で折り返す。

  後半はヤマハペース。IBMゴール前をモールで押し込むも、IBMが粘りのDFで押し返す。47分IBMゴール前5mスクラムから、ヤマハFL木曽がサイドを突きT(GK不成功12-20)IBMのミスが目立ち始め、ボール継続で上回るヤマハペースかと思われたが、ここ一番のミスで、波に乗れない。53分ヤマハ右15m付近LOからモールを押し込みT(GK成功12-27)を挙げた。この時間帯からIBMの動きが鈍くなり、攻撃のツメが甘くなる。ギャップが目立ち始めたIBM DFに対し、ヤマハが左右に大きく展開、連続Tで突き放す。 積極展開するヤマハのパスミスをIBMフィリピーネが2本目のインターセプトで一矢を報いるも、運動量の差でヤマハに軍配が挙がった。(17-39)


(写真1 ヤマハ、ソトゥトゥ、強力なドライブ)


(写真2 ヤマハ、大西先制トライへダイブ)


(写真3 IBM、DFヤマハの突破を阻む)


(写真4 IBM、ラックから素早いパスアウト)


(写真5 ヤマハ、ソトゥトゥ、フラッグギリギリに飛び込む)


(写真6 IBMダブルタックル必死のDF)


(写真7 こまかくつなぐIBMのFW)


(写真8 ヤマハの強力なモールドライブ)

◎ 会見レポート
【日本IBMビッグブルー 安藤監督】
 前節、サニックス戦で初勝利、チームも上向きになり、それに続くヤマハ戦は大切な試合と思っていたが、残念だ。セットプレーが不安定、後半に足が止まったことなど色々と原因は考えられる。後半の修正能力の差がこの結果につながったのかと思う。選手は良くやってくれたが、80分間を通して自分たちのラグビーができなかった。後で映像を見るなどして、今までと異なった展開となった理由などを明らかにしたい。

【日本IBMビッグブルー 高 主将】
 前半すぐに、得点を与えてしまったことなど準備不足か、もっともっと締まったゲームをファンに見て欲しかったが、多くのファンに対し申し訳ない。もっとラグビーを盛り上げなければならない時なのに、このような試合ではIBMにも痛手であるし、ヤマハチームにも礼を失して残念だと思っている。



【ヤマハ発動機ジュビロ 堀川監督】
 目標であった5Pは取れたが,まだまだチャンスを生かしきれていないことがたくさんあった。修正していくことで成長していく,九電戦に向けて準備をしたい。[力があるんだ]という自信も少しずつ見えてきたので、チームを加速させる意味でがんばって行きたい。

【ヤマハ発動機ジュビロ 木曽主将】
 5P取れたことはうれしいが、中身はまだまだ、今日のようなことでは、次の試合を戦っていくためには致命的なことになる。5P取れたことは、ステップアップだが、あえてそれを忘れて厳しくやって、ひとつでもトライを取るために修正して行きたい。

(試合開始10秒足らずでトライをあげたことは選手にどのように影響したのか。)
木曾主将:
 心がけていたようなGood Startはではなかったが、その後に大きな影響はなかったと思う。





◎ マッチレポート  神戸製鋼コベルコスティーラーズ VS コカ・コーラウェストレッドスパークス
 神戸製鋼のキックオフで始まったゲームは、キックの応酬で滑り出す。神戸製鋼は、今村、伊藤、濱島とキープ力のあるプレーヤーが起点となりゲインするも、決め手に欠け、一進一退の攻防に。先手を取ったのは神戸製鋼、18分コカ・コーラゴール前10mスクラムからNO.8伊藤のサイドアタックからつないで、最後はWTB小笠原があっさりT(GK成功7-0)
 対するコカ・コーラもキックとオープン攻撃を織り交ぜ神戸ゴール前に迫るも、最終ラインを割らせない神戸製鋼。左右に展開するコカ・コーラがペースをつかみ、DFの裏にパントを転がし神戸製鋼がヒヤッとする場面も。  数少ないチャンスが巡ってきた39分、神戸製鋼は左中間22mラックより、NO.8伊藤のアタックからつなぎ、最後はWTB小笠原が2本目のTを挙げ(GK成功14-0)前半を折り返す。

 後半もコカ・コーラの勢いは衰えない。しかし、キックチャージからか果敢にアタックするも決め手を欠き、得点に結びつかない。ウィルソンのDGで突き放したかに見えた神戸製鋼(17-0)だが、強烈なプレッシャーをかけ続けるコカ・コーラ、神戸製鋼のミスも重なり17-13まで追い上げる。コカ・コーラの勢いに飲み込まれかけた神戸製鋼だが、コーラ陣30mラックからSH後藤が抜け出し、左へつなぎ、最後はCTB今村が左中間にT(22-13)。 SOが森田に交替してタッチキックが安定し出した神戸製鋼だが、前に出る勢いは衰えないコカ・コーラ。神戸製鋼の不用意な反則からPGを決め6点差まで詰める(22―16)が、神戸製鋼、SH後藤を起点としたカウンターアタックからチャンスをつかんだ78分、左中間コカ・コーラゴール前ラックから、左へ展開、最後はWTB濱島がとどめのT(27-13)。
 勢いで上回っていたコカ・コーラを、老獪さと若手の粘りが融合した神戸製鋼が押し切ったゲームであった。


(写真1 安定したモールから神戸後藤キャプテンパスアウト)


(写真2 神戸ウィリスの前進に一歩も譲らないDF)


(写真3 神戸伊藤パントをナイスキャッチ)


(写真4 コーラ強力FWと安定した球出し)

(写真5 神戸小笠原DFを外して回り込む)


(写真6 コーラ、ゴールラインに迫る)


(写真7 高いラインアウトのコーラ)


(写真8 コーラの強力フロントロー)

◎ 会見レポート
【コカ・コーラウェストレッドスパークス 向井監督】
 2連敗中で、勝ちたい試合だった。策もねってきたが、神戸のうまさと2個のチャンスに得点され、最後は神戸の得点が上回ってしまった。前後半とも攻めている時間は、こちらが長かったと思うが、そのあとトライまで持っていくところが出来なかった。来週までに修正をしなければならない。

【コカ・コーラウェストレッドスパークス ニールソン副主将(山口主将、負傷治療中のため)】
 80分間を通して選手全員が、すごく頑張ってくれて、トライを取れそうなところまで行ったが、神戸のゴール前のディフェンスによってトライにならなかった。少ないチャンスでもトライが取れるように修正していきたい。

(神戸のディフェンスが良かったのか取りきれなかったのか。)
向井監督:
 神戸は、失点が少なくラック際もうまい、出させない球殺しのうまさもある。スクラムトライも行けるかなとも思った。あと5回くらいスクラムをやっていれば認定トライになるかとも思ったが。そこまで固執すれば良かったか。結論としては、神戸のディフェンスのうまさだ。我々もボールを生かすためのボディーコントロールを研究していかないとトップ4にはやられてしまう。私たちは勉強中だ。



【神戸製鋼コベルコスティーラーズ 平尾GM兼総監督】
 レベルの低いミスもあり、まだまだ、注意力を高め、トレーニングを積む必要があるが、結果的には5P取ったことでチームを評価できる。コカ・コーラも良いチームで、そのチームから5P取れたことは、次のサントリー戦に弾みのついた試合だったといえる。

【神戸製鋼コベルコスティーラーズ 後藤主将】
 反省するところが分からないほど多かったが、逆に反省するところが分かりやすい試合でもあった。キックのチャージ、キックオフのミス、中途半端なパスをしてのノットリリースなどでエリアが取れなかったこと、ゲームマネージメントの判断ミス、スキルのなさが顕著に現れた試合だった。こんなことをやっていては次がないと思うほど大反省をしている。
 サントリー戦に向けて同じことのないようにしたいと思っている。

(最後、ゴールを狙うことは考えなかったのか。)
後藤主将:
 まったく考えなかった。4トライを取ることしか頭になかった。ところでその時の点差は?
 (6点差。)
 えっ6点差!それは危なかった。
 (爆笑)


(記事:廣島治、長澤孝哉 写真:長谷川昭男)

(広報担当者:村島 博)