第44回全国大学選手権 マッチレポート

 


第44回全国大学選手権 マッチレポート(花園)

 


 12月16日の日曜日に全国5会場で開幕した第44回全国大学選手権大会。関西地域で行われた試合から、前回の瑞穂に引続いて、近鉄花園ラグビー場で行われた2試合の模様をレポートします。

12月16日(日) 近鉄花園ラグビー場 12:02〜 KICKOFF
大阪体育大学
5
0 - 36

5 - 36
慶応義塾大学
72

12月16日(日) 近鉄花園ラグビー場 14:01〜 KICKOFF
同志社大学
20
10 - 8

10 - 17
筑波大学
25

◎ 大阪体育大学 VS 慶応大学 マッチレポート
 慶応のノーホイッスルトライで始まった大学選手権の第一回戦。関東の大学と関西の大学の力の差がはっきりしたゲームとなった。慶応2つ目のトライは、中央付近のスクラムから出たボールを右ブラインドに回し50mを14番山田が独走トライ。その後も、BKによる2次、3次の攻撃から展開、山田(14番)が4トライをはじめ、増田(13番)、小田(15番)が得点、すべてBKによる6トライを奪ってゲームを決めた。
 DFに関しても、慶応は、低いタックルと、大体大ラインに対するプレッシャーで、大体大の少ないチャンスをつぶした。大体大は、SOによるハイパントキックと、WTBに渡す長いパスキックを多用したが、着地点での競り合いに負けたこと、ゴール前のラインアウトからモールを形成しながらも押し込めなかったことなどで、前半に得点が得られず自分たちのラグビーに持ち込めなかった。

 後半、大体大FWの動きが良くなり得意とするモール攻撃が見られたが、大きく前進することが出来ず、BKに出したボールもゲインラインを切ることを阻止された。大体大は何回もゴール前でPKの機会を得たが、タッチキックからモール形成でトライを狙う戦法に固守した。唯一の得点は、後半25分SOのキックパスが味方11番の後方にずれ、ボールを追う慶応のディフェンスラインに隙間を生み、クッションボールをうまく処理した11番がすり抜け左中間にトライをしたものである。反則は、前半4(体2、慶2)に対して後半14(体1、慶12)であったが、この違いと得点とのギャップは何か、両チームとも分析が必要と思う。

 前半は、反則を犯すことのないほどボールが動き、後半は大体大FWが力を出し切って戦っための慶応FWの苦しさもうかがえる。慶応は、ノーホイッスルトライが2つ、個々のパワーの差なのか、低いタックルで相手に想像以上のプレッシャーを与えたのか、大体大が戦ってきた関西大学リーグ戦での戦い方を通用させることができなかった一戦であった。


(写真1 体大の前進に飛び込む慶応DF)


(写真2 キックを多用する体大キャッチ)


(写真3 インゴールでボールをまさにプレスする慶応BK)


(写真4 キックを多用する体大ハイパント)


(写真5 強力FWの慶応、安定した球出し)


(写真6 体大の前進を阻む慶応DF)


(写真7 FW・BK一体となった慶応の攻撃)


(写真8 慶応、DFを引きずる強力なドライブ)


(写真9 慶応、DFをかわしてゴールへ)

◎ 会見レポート
【大阪体育大学 坂田 好弘監督】
 コメントすることがない。想像以上の慶應のプレッシャーだった。練習通りのことができないくらい、ユニットでも個々でも力の差があった。常に先手を取ろうと、キック・モールと攻め手を変えたが、通用しなかった。今までに無い経験であり、個々のパワーが違うと痛感した。
 シーズン通りの戦い方だったが、慶應義塾には、全く歯が立たなかった。早いプレッシャーを意識して、キックパスも戦術のひとつに加えたが駄目だった。突破した後、早いつなぎを意識するラグビーを去年から目指しているが、今日はそれ以前の問題。 個々の能力の差は大きい。同じことをやっていてもこの差は詰まらない。長所に磨きをかけることを今後考える必要がある。まとまりを重視したチーム作りだったが、個々のパワー、スピードで負けないメンバーを揃える必要があるかもしれない。 非常に悲観的な考え方だが、厳しい現実を突きつけられた。

【大阪体育大学 大川 雅史主将】
 キックからゲームを組み立てる算段だったが、自分達のペースに持ち込めなかった。DF力で完敗したことは、今後の課題として残る。慶應のFW・BK一体の動きは見事であり、敬意を表したい。


【慶應義塾大学 林 雅人監督】
 関東対抗戦で安定したプレーができなかっただけに、今日勝ててホッとしている。大阪体育のラインアウトからのモール攻撃を警戒していただけに、キックは意識的にノータッチを狙った。関東対抗戦では、低いタックルが決まらなかったが、今日は効果的に決まっていた。この数週間、練習のいい流れが浸透していた。WTB山田は膝を打撲したので、点差が開いていたこともあり、大事をとった。
 今日の課題としては、カウンターアタックのDFで中途半端で前に出てしまったこと。東海大戦については、攻撃に関して、縦を中心に組み立てていきたい。今日の戦い方には手ごたえを感じている。

【慶應義塾大学 中浜 聡志主将】
 監督のプラン通りのゲームが出来た。低いタックルで対処できたことが今日のゲームの全てだと思う。早慶戦ではWTB山田を生かすゲームが出来なかったが、今日は個々の力で勝負し、結果として山田に頼らないプレーが出来た。大会前は非常に不安だったが、東海大戦は今日のゲームの出来ならいけると思う。




◎ 同志社大学 VS 筑波大学 マッチレポート
 関西の王者同志社大学と関東対抗戦5位とはいえ、慶応大に勝利し、また早稲田大と好ゲームを演じた筑波大学の注目の対戦。

 前半6分に同志社キャプテン前川がラックサイドから大きくゲイン、ゴール前にラックを形成、そこからすばやくSH東郷が右隅にトライ、同志社ペースかと思われたが、直後の9分に筑波が同志社陣内、左中間ラックからSO中島のキックパスをWTB大野がキャッチし左中間にトライをかえし、振り出しにもどした、互いにDFが堅くなかなか裏へ出られずキックを多用したゲームが続き膠着状態に、35分に筑波がPGで逆転、しかし前半終了間際に同志社がゴール前モールを押し込み左中間にトライ、再度逆転し10-8で折り返す。

 後半は筑波が13分、24分、29分とキックを使った多彩な攻めで同志社のDFのほころびをつき立続けにトライを重ね15点差に。一方同志社は35分、43分とゴール前ラック、モールで2トライを返し5点差と迫るが追撃もここまで、結局20-25で筑波が勝利、同志社の執拗なラックサイドの攻撃を低いタックル一発で倒し、立ったプレーをさせなかった筑波の固いDFの光った好ゲームであった、同志社は昨年に続き2年連続で選手権初戦敗退となった。


(写真1 空中戦を制する筑波)


(写真2 筑波クラッシュ)


(写真3 筑波の重量フロントロー)


(写真4 鉄壁のモールから筑波パスアウト)


(写真5 同志社アングルチェンジ)


(写真6 同志社のランを筑波DF)


(写真7 同志社の強力なサイドアタック)


(写真8 同志社の前進を阻む筑波の組織DF)


(写真9 同志社モールからキックに(右は前川キャプテン))

◎ 会見レポート
【同志社大学 中尾 晃監督】
 関西リーグ戦から時間が開いていたので気になっていたが、その不安が的中した。前半の入りは良かったが、ミスで乗り切れなかった。後半はタックルミスから付け込まれた。得点を獲り切れない甘さも重なってしまった。
 春季は個人の自覚に任せていたが、不祥事のため春で仕上げるフィジカル面が夏季にずれ込んでしまった。結局チームづくりが後手に回ってしまった。充分な手応えが無いまま、突入したシーズン、天理に敗れてからアタックに磨きをかける方針にならざるを得なかった。チーム力がまとまってきたが、今日のゲームでは、関東のチームの球際の強さに感服した。ここ一番での勝負弱さを露呈してしまった。FWはラインアウトで善戦したが、BKが前半から機能せず、浮き足立ってしまった。チーム状態は今年一番だったのだが。

【同志社大学 前川 泰慶主将】
 筑波の強さは充分警戒していたが、いざゲームが始まるとDFの強さに面食らってしまった。関西で通用していた攻撃が全く通用しなかった。後半ゼロチャンネルでのDFを強化され、巧みにチャンスを潰された。DFの差が敗因と言っていい。後半の鋭いダブルタックルに対し、充分な対応ができなかった。


(PGで点差を詰めるチャンスにスクラムを選択した理由は?)
前川主将:
 1年間練習を続けてきたスクラムで勝負を挑んだが、結果的に押し切れなかった。選択ミスではないと確信している。


【筑波大学 古川 拓生監督】
 アウェイの雰囲気に呑まれ気味だったが、攻撃的なDFでよく盛り返した。前半は自分達のプレーに集中できない場面もあったが、後半に向け、気持ちの切り替えが巧く出来たことが、今日の勝因である。具体的には、同志社のFW周辺を重視したアタックに対し,DFが充分対応できた。BKラインのDFが最後まで崩れなかったことは評  価に値する。
 今季のスターティングメンバーは大きな怪我することなく、まとまっていた。その結果、的確な状況判断が出来たと思う。大学選手権で(勝利という)結果が出、報われた想いだ。今日のゲームを踏まえ、2回戦でも持ち味をしっかり出していきたい。

【筑波大学 島 弘一郎主将】
 1年間継続してきたタックルで、いい結果が生まれた。努力が報われた感がある。 自分たちのラグビーを貫けば勝てると確信していたが、果たしてタックル、フォローと自分たちのプレーが出来たことが大きい。同志社に対し3年前の雪辱が出来た。このまとまりを大事にして次の帝京戦に臨みたい。


(記事:北畑幸二、廣島治、長澤孝哉、写真:長谷川昭男)

(広報担当:村島 博)