第44回全国大学選手権 マッチレポート

 


第44回全国大学選手権 2回戦 マッチレポート(花園)

 


 12月23日天皇誕生日、第44回全国大学選手権大会2回戦、近鉄花園ラグビー場で行われた2試合の模様をレポートします。

12月23日(日) 近鉄花園ラグビー場 12:02〜 KICKOFF
明治大学
29
12 - 0

17 - 0
京都産業大学
0

12月23日(日) 近鉄花園ラグビー場 14:01〜 KICKOFF
筑波大学
8
8 - 12

0 - 34
帝京大学
46

◎ 明治大学 VS 京都産業大学 マッチレポート
 関東対抗戦2位と関西リーグ2位との戦いは、明大のスクラムトライで均衡が破れた。前半10分頃、明大のキックボールがインゴールに入り、京産大は辛うじてタッチダウンしたが、その前のプレーがPKとなり、ゴール前で明大はスクラムを選択、2度目の組み直しを経て、PRがめくり上がって崩れかけたところを8番宇佐美が強引にトライを奪った。2つ目も、FKからスクラムを選択、セットプレーから左オープンに回しBKが、京産大の高めのタックルをはずし、最後はCTB衛藤が鮮やかにトライ を奪った。京産大は高いタックルで再三のPKを明大に与え、タッチキックでも確実に陣地を奪えない状況。前半、京産大の見せ場は、自陣10mライン付近で明大のパスミスを足にかけてドリブルプレーに持ち込み、一気に敵陣5mスクラムまで押し込んだところだ。2度3度FWプレーで明大ゴールに迫り京産大応援団が大いに沸いたが、ラックボールが拾えずチャンスをつぶしたところで前半が終了。(明12-0京)

 後半も、明大は京産大のプレーにてこずりながらも、6、23、44分に得点を追加した。京産大はタックルで明大のBKを止めるが凡ミスで攻撃権を奪えない展開。中盤に明大が4連続PKを犯すも、京産大はFWで当たり行きポイントを作る戦法に徹し、ポイントからBKに展開、左右に振ってゲインを試みる正攻法で挑んだが、明大のゴールを割ることは出来なかった。スクラムも最後まで安定せず、明大のホイールプレーに京産大は対応できなかった。


(写真1 京産のキックも鋭い明治のチャージに曝される)


(写真2 ハンドオフをかわして入る低い明治のタックル)


(写真3 ポイントで優勢に立つ明治)


(写真4 京産の攻撃も明治の執拗なDFに封じられる)


(写真5 京産の力強い攻撃もトライラインを割れない)


(写真6 京産を圧倒した明治スクラム)


(写真7 京産気迫のDF)


(写真8 京産突破を試みるも明治DFにからまれる)


(写真9 明治チャージの瞬間)


(写真10 明治の正確なライン攻撃)


(写真11 明治怒涛の進撃を京産辛うじてDF)

◎ 会見レポート
【京都産業大学 大西監督】
 関西で唯一残っていただけに何とか頑張りたかった、「FWが優位に立たないと」と戦前から言ってゲームにのぞんだが、そのFWで明治に完敗した、これがすべて。 夏合宿でスクラムの要の長江が怪我をし、フッカーの後藤が1番に回り、建て直しで頑張ってくれたが残念です。

【京都産業大学 後藤キャプテン】
 FW勝負になることはチームの全員がわかっていた、セットプレーで勝たないといけないのに完敗した、力の差がありすぎた。

(力の差とは?)
後藤キャプテン:
 スクラムの差、そこで負けており対応できなかった、最初、レフリーからスクラムが内に入っていると指摘を受けたが最後まで修正できなかった、今シーズンで最強の相手だった。


(ラインアウトはさほど身長差はなかったのに取れなかったこと、またブレイクダウンでターンオーバーが多かったには?)
後藤キャプテン:
 最初は上手くいっていたのだが、明治が対応してジャンパーを1枚増やしてきた、こちらが逆にそれに対応できなかった、ブレイクダウンについては一人目が非常に激しく、受けに回ってしまった。


(関東勢との決定的な差は?)
大西監督:
 決定的な差はブレイクダウンの激しさ、厳しさ、これが関東は数段上、これに対抗するにはセットでプレッシャーをかけていくことだが、逆に受けてしまった、答えは明白。早稲田と戦いたかった気持ちは強いが、いろんな部分で足元にもおよばない、そこへ挑戦していくものを蓄えていかなければならない。


【明治大学 藤田監督】
 戦う気持ちと、集中力の継続をテーマに掲げてのぞんだ、振り返ってみて、1、2回戦を完封できた、これは対抗戦からの反省でデフェンスを修正した、また今日のゲームで思い切ったアタックでノッコンがあったが、このようにBKが思い切って前に出てくる意識をもってくれるようになった。原点回帰でFWを強化したことがベスト4という形で戻ってきた。

【明治大学 上野キャプテン】
 1、2日回戦を零封し自信になったが、まだこれでは先では通用しない、もう一つ上を目指すなら、ブレイクダウンでもっとクリーンなボールが出るように精度を上げなければならない。


(ゴール前のペナルティーでスクラムを選択したのは?)
上野キャプテン:
 ファーストスクラムでいけるという感触があったのでスクラムを選択した、京産大はヒットが早いイメージがあったのでこちらも、早く仕掛けていくことで半歩前へ出られた。


(次の慶大戦については?)
藤田監督:
 引き分けた慶大にはきっちり借りを返さねばならないと思っている。

上野キャプテン:
 慶大とは春、対抗戦と2度引き分けており、もう一度当たる予感があった、今度は明治の強さを証明したい。




◎ 筑波大学 VS 帝京大学 マッチレポート
 関東対抗戦4,5位チームの戦いを花園で観戦することとなった。ライトブルーの筑波大、赤の帝京大、緑の芝、白いボール、鮮やかなコントラストで選手の動きが良くわかるゲーム。

 前半、筑波大はフィールドいっぱいに広いラインと長いパス、帝京大はやや深めの ラインを引き、双方、動きの良い立ち上がりであった。前半10分筑波CTBが帝京大ディフェンスを少しずらし、WTBにパス、左隅にトライ。筑波大が先制した。帝京 大は19分モールで押し込み1トライを返して振り出しに戻し、33分のPGで逆転 されたが、39分ゴール前スクラムの壊れからサイド攻撃を仕掛け5番冨田が飛び込んで再逆転し(8−12)前半を折り返した。

 後半1分、帝京大の好ハイパウントを筑波大がうまくキャッチするも、モール状態からラック模様の混戦となり、帝京側に出たボールが左ラインに回され、11番がトライ。その後も、筑波は好タッチキックで陣地を戻すが、スクラムの主導権は帝京にあり、ほとんどが自陣でプレーすることとなった。 筑波大は、ひと回り違うFWをタックルで受け止め、ボールを生かそうとするプレーを続け帝京のオフサイドを誘うが、得点にむすびつく決定的なプレーとはならない。
 30分には帝京はPKからスクラムを選択、筑波はコラプシングを犯し認定トライを 取られ、最後はスクラムトライを奪われるなど、一方的な展開とはなったが、対抗戦では筑波20-25帝京の僅差であったように、最後まで気迫の失せるようなことのない、大学選手権の頂点に立つ4強を決するにふさわしいゲームであった。
 しかし、筑波大としては、予想をもしなかった8トライを帝京大に与え、初の4強を逃す残念な結果に終わった。


(写真1 筑波FWブレイクダウンでの素早い集散)


(写真2 帝京8サイドアタック)


(写真3 筑波の高いラインアウト)


(写真4 帝京ブレイクダウンでの攻防)


(写真5 筑波のサイドアタックを帝京DF)


(写真6 筑波の武器、激しいタックル)


(写真7 帝京FB後半トライへダイブ)


(写真8 筑波密集からブラインドサイドへ)


(写真9 双方譲らないセットスクラム)

◎ 会見レポート
【筑波大学 古川監督】
 2ゲーム続けての花園は、やはり体力的に厳しいものがあり、前々日からこちらへ入り、気持ちの面で整理してのぞめたが、同大戦のようなデフェンスやタックルなどピークの状態でのぞむには難しいものがあった、チャンスはあったが得点には結びつかなかった、うちはタックルが生命線だがそこでくい込まれた。

【筑波大学 島キャプテン】
 筑波のラグビーは随所に出せたと思っているが、逆に帝京さんのいいところも出させてしまった、今日は完敗です。来年からはFWを強化し強い相手に互角に戦えるようになって欲しい。


(対抗戦は帝京大と5点差、どこが違ったのか?)
島キャプテン:
 春からやってきたことは同じで、むしろ帝京の方のチームの統一や前へ出る力が強くなっていた、前回はタックルで倒せたのだが、今回はそれが出来なかった。


(2ゲーム続けてマックスの力を出すのは難しいと思うが先週に比べて?)
古川監督:
 疲労があったがこれが現在のベストメンバー、ただゲームに乗れるところ、乗れないところがあり、いやな時間帯を過ごしてしまった、勝負の厳しさを感じた。




【帝京大学 岩出監督】
 今日のゲームに関しては、うちの強みの部分、接点の強さ、タックル、ブレイクダウンの厳しさを期待していた、前半ちょっと足が動いていなかったが、トータルでいいゲームだった。

【帝京大学 堀江キャプテン】
 自分たちの強みを出そうとゲームにのぞんだが、前半はミスで筑波さんに苦しめられた、後半はミスをなくし、こちらの強みが出せた。


(強みの出し方をつかんだのは?)
岩出監督:
 何がよくて、何がくるっているか、プランの見直しをはかった、青学戦から先週の拓大戦と強さが挙がってきている。


(選手権は対抗戦4チームが残ったが?)
岩出監督:
 スコアは別にして、リーグと対抗戦の力の差が見えた、対抗戦の厳しさがそこにあると思う、同じ対抗戦の一員としてうれしい。


(次の早大戦について?)
岩出監督:
 秋のうちのデフェンスは甘かった、そこでしんどい、痛い練習に取り組んだ、随所に個々の力強さ、加えて粘りが出てきた、この強みを前面に出し、勢いのある部分で戦う。ベスト4はうれしいのだが、目の前の勝ちでなくスタンダードを意識しながら、早大と戦うことで今シーズンの集大成となるように厳しいラグビーで戦いたい。

堀江キャプテン:
 対抗戦から厳しいところでやっていこうと意識してきた、デフェンスの激しさが出せれば勝機はあると思う。




(記事:長澤孝哉、北畑幸二 写真:長谷川昭男)

(広報担当:村島 博)