関西ラグビートップウェストAリーグ マッチレポート

 


トップウェストAリーグ順位決定戦マッチレポート

 


 トップウェストAリーグの順位決定戦の第2回戦が、1月12日土曜日、近鉄花園ラグビー場第Tグランドで行われました。あいにくの雨模様にもかかわらず2000名近い観客が、ワールドファイティングブルと近鉄ライナーズの試合に駆けつけ、熱戦を盛り上げました。スコアは、以下のとおりです。

1月12日(土) 近鉄花園ラグビー場 14:00〜 KICKOFF
ワールドファイティングブル
20
10 - 7

10 - 16
近鉄ライナーズ
23

 この結果、近鉄はトップチャレンジ1に、ワールドは、トップチャレンジ2に進出し、悲願のトップリーグ昇格をかけて戦うことになりました。両チームの武運を心から祈りたいですね。


◎ マッチレポート
 強風吹き荒ぶ中、風下の近鉄が先蹴でキックオフ。序盤は近鉄FWがボールを支配、 マイレー、バツベイを中心に激しいブレイクダウンを繰り返す。一方のワールドは、SOウェヴを起点としたハイパント攻撃で、バック3のDFを崩しにかかる。
 先手を取ったのは近鉄、ワールドのゴール前をモールで執拗に攻める近鉄に対し、コラプシングでしかとめられないワールド。PGのたびにラインアウトでアタックを繰り返す近鉄は、16分、右中間ラックよりSH北村がサイドを突きT(G成功0-7)。 風下の不利をFWのボールキープでカバーする近鉄のペースで進むかにみえたゲームだったが、ワールドは、33分、近鉄陣内20m中央ラックから左展開、最後はWTB11沼田が中央に回りこみT(G成功7-7)。ラインアウトの精度が戻ったワールドがここからペースを掴む。ワールドの連続攻撃を鋭い出足で止める近鉄だったが、前半終了間際の40分にたまらずオフサイド。ウェヴのPG成功で10-7。前節のホンダを撃破した勢いを持ち込み接点を制する近鉄だが、相変わらず顔を出すケアレスミスにつけ込み、確実に得点するワールドといった展開の前半。

 後半、開始直後の2分、ラインアウトが安定してきたワールドが攻勢をかけ近鉄の反則を誘う。難度の低いウェヴのPGだったが、ゴールポストに撥ね返され加点できない。なおもアップ&アンダーで攻め続けるワールドだが、ゴール前モールを押し込めず53分ウエヴのDGでようやく突き放す(13-7)。19分に近鉄がCTBマイレーをイエロメに入替えた辺りから、ゲームの流れが変わりはじめる。連続でブレイクダウンを制した近鉄は22分、27分とPGで加点し、同点に追いつく(13-13)。流れを戻すべく敵陣で、ラッシュをかけるワールドだが、いまひとつ決め手に欠く。
 そして、29分、近鉄は、ワールドが裏を狙ったキックをチャージダウンしたボールを繋ぎ、フォローしたFL大隈が快走、最後はSH北村が右中間に回りこみT(G成功13-20)。DFの集中力が切れない近鉄だったが、ワールドも36分ゴール前ラインアウトから巧みにモールをずらし、LOマナコが左中間に技ありのT(G成功20-20)。両チーム一歩も譲らず、引き分け濃厚となったノーサイド直前、PGを狙った近鉄SO重光のキックは届かない。そして最後のプレー、ワールド1位通過が確実になるはずのタッチキックを残した近鉄が、連続ラッシュでワールドのラインオフサイドを誘発。ポスト右の容易な位置からSO重光がPGを決めると同時にノーサイド(20-23)。

 苦しんだリーグ戦を凌ぎ、新システムの順位決定戦を勝ち抜くことで勢いに乗った近鉄に対し、リーグ最終戦から1ヶ月近く公式戦から遠ざかったワールドのコンディショニングの差が、微妙に出たゲームであった。


(写真1 ワールドスタワーズの突進)


(写真2 ワールドスタワーズに立向かう近鉄タウファ)


(写真3 近鉄タウファの前進に果敢なタックル)


(写真4 ワールド攻撃の起点ウェブのキック)


(写真5 近鉄マイレイの前進に懸命のDF)


(写真6 近鉄の継続プレー)


(写真7 近鉄BKの快走)


(写真8 近鉄密集を抜ける侍バツベイ、トンプソンがサポート)


(写真9 近鉄PK決まり、ノーサイドの瞬間を迎える)


(写真10 表彰式近鉄1位のカップを受ける)


(写真11 2位ワールドの表彰)

◎ 会見レポート
【近畿日本鉄道ライナーズ 中谷 誠 監督】
 しんどいゲームだった。風下の前半を凌ぎ、後半を優位に戦う算段だったが、結果、厳しいゲームとなった。互いを信じ、攻守とも安定した力を100%出し切れたことが勝因。

(昨年はTL入替戦でIBMと引き分け、昇格を逃したが?)
中谷監督:
 あの敗戦の日からスタートしたが、ワールドカップに主力3選手が選出されたことで、チームの仕上がりが遅れ、序盤は波に乗り切れなかった。リーグ戦で豊田自動織機に辛勝してから、チームにまとまりができ、ひとつの壁を乗り越えられた。プレーヤーが互いを信じあっている今を大切にしたい。

(今回の順位決定戦システムについては?)
中谷監督:
 ワールドは調整が難しかったのではないか。ウチは幸いホンダ戦での怪我人もなく、勢いに乗って今日のゲームに臨めた。このシステムを最大限活用できたのではないか。

(髭が剃れないですね?)
中谷監督:
 トップリーグ昇格が決まるまでは剃れないね(苦笑)。


【ワールドファイティングブル 南 英雄 監督】
 パスやキックなどのプレーのミス、不用意な反則などで自滅した試合だった。特に、攻勢をかけたときにターンオーバーを許したのが痛かった。リーグ戦で近鉄に勝っていたことの影響はないと思う、最後のキックがタッチを切らなかったのはまさに楕円球の妙で不運もあったが、要するに出来が悪すぎた。
 SOウェッブのキックで陣地を取り、そこからワールド本来のワイドに展開するラグビーで得点して行くのがゲームプランだったが、近鉄のDFのプレッシャーが厳しく思うようにさせてくれなかった。
 次はトップチャレンジ、先ずシリーズ2で全勝し入替戦に臨む、全力を出し切るだけだ。

(記事:廣島治 写真:長谷川昭男)

(広報担当:村島 博)