ジャパンラグビー2007トップリーグ マッチレポート(花園)

 


2007トップリーグ第10節マッチレポート(花園)

 


 トップリーグも第10節と終盤戦に入り、MS杯に臨む4強候補も絞られてきました。反面リーグ残留を賭けた戦いも激しさを増しています。1月14日日曜日、近鉄花園ラグビー場では、全勝街道を快進撃中の三洋電機ワイルドも登場して、2試合が行われました。以下、そのレポートをお伝えします。

1月14日(祝) 近鉄花園ラグビー場 12:00〜 KICKOFF
クボタスピアーズ
17
17 - 6

0 - 27
福岡サニックスブルース
33
1月14日(祝) 近鉄花園ラグビー場 14:00〜 KICKOFF
三洋電機ワイルドナイツ
52
9 - 7

43 - 0
九州電力キュウデンヴォルテクス
7
◎ クボタスピアーズ vs 福岡サニックスブルース マッチレポート
 両チームともゲームの入りは相手の様子をうかがうといった様相。先手はクボタ、13分に自陣10?付近で相手がこぼしたボールを9番茂木が拾う、CTB、FBが素早く反応してつなぎK吉田が左中間に先制トライ。クボタ18分にはPGで8点差。一方、サニックスは21分、35分とPGで食い下がる。サニックスはクボタの重量FW相手にラインアウトでのモール勝負を避け、素早くオープンへボールを回す、後半へ体力を温存する構え。対してクボタは38分に相手ゴール前ラインアウトでモールを押し込みトライ、17‐6で前半終了。

 後半に入って3分、サニックスがゴールポスト左10?ラックからH‐Jとつなぎトライ、目論見どおりに後半勝負のゲーム展開。28分にはPG、31分には相手ゴール前10?ラインアウトからモール勝負、消耗しているはずのFWが見事に押し込み左中間にトライを決める。これで勢いに乗ったサニックスは、34分に1トライを上げ、さらに終了間際ハーフウェイ付近でJ永留が相手パスをインターセプトし右中間にトライ、後半にクボタを零封で逆転勝ち。クボタは前半に風上に立ちながらもキックミスで相手陣で思うようにゲームが出来なかったのが悔やまれる一戦であった。


(写真1 クボタ前半パワー勝負)


(写真2 クボタ、マクイナリFB対決)


(写真3 サニックス、フィフィタの力強い前進)


(写真4 サニックス後半BKの機動力を活かす)

◎ 会見レポート
【クボタスピアーズ 山上監督】
 今日の試合が、リーグ中でも大事な試合であることは十分認識していたし、その旨選手にも徹底した。しかし出来が悪かった。DFとブレイクダウンで後手に回ってしまった。その点サニックスさんは思い切りがよく、クボタはしたいことできず、試合を支配することができなかった。後半意識を切り替えようとしてできなかったのが残念、首脳部一同猛省して次節に臨みたい。

【クボタスピアーズ 鈴木キャプテン】
 自分たちの力を出すべく、前半10分は思うようにプレッシャーをかけられたが、反則で自分達のペースを崩した。後半修正しようとしたが、できなかった。試合中のピンチでいかに立て直していくかがチームとしての課題である。

(後半トライがなく、勝点のプラス1はリーグ残留に大きいと思うが?)
山上監督:
 今日勝点1を逃したのは確かに大きい。早いペースで加点したかったのだが、PKでスクラムを選択するなど戦術上のミスが響いた。

(立ち上がりからキックを多用したようだが?)
山上監督:
 陣地をとって敵陣に入れば得点できる自信はあった。しかしキックがタッチを割らないなどミスが続いた。精神的なもろさなのか、本来の力が出せなかった。



【福岡サニックスブルース 藤井監督】
 リーグ残留のためには大事な一戦、折り返した時点で11点差、後半追い上げる中、得点出来ない苦しい時間が続いたが、耐え抜いた。勝点5を取れたことは大きい。

【福岡サニックスブルース 古賀キャプテン】
 上位を目指して行くためにも、大切な試合と認識していた。その点はクボタさんも同じだったろうが、我慢するべきところで忍耐が切れなかったのが勝因だと思う。

(後半小野が入れ替わって影響は?)
藤井監督:
 堀田はどのようなポジションでもこなすプレイヤー、入替えによる影響はほとんどなかった。また、ゲームプランを特に修正することもしなかった。

(ミュアーの入替えは?)
藤井監督:
 後半勝負になると踏んだ、予定通りである。

(次節に向かっての抱負は?)
古賀キャプテン:
 TLのチームはどこも強い、チャレンジ精神で我々のラグビーをする。その結果、勝利がついてくればよいと考えている。
藤井監督:
 いわゆる九州ダービーで、特別の思いはある。先ほど円陣を組んだ時に選手に話もしたが、全力を挙げて試合に臨みたい。





◎ 三洋電機ワイルドナイツ VS 九州電力キュウデンヴォルテクス マッチレポート
 序盤から、三洋電機はトップリーグ首位とは思えないゲーム展開、九州電力のしつこいディフェンスに手こずり、思うように攻撃できない。しかし、PG、DGなどで着実に加点。九電は38分に相手ゴール前のラックからのキックを果敢にチャージ、こぼれ球をM吉永が拾い中央にトライ、9‐7で折り返す。

 後半早々、三洋はゴール前スクラムからH−I−Jとつなぎ左隅にトライ、これを皮切りにBKの動きがよくなりFWもこれに連動、三洋の波状攻撃がはじまる。ディフェンスも非常に堅く、幾度か九電に攻め込まれながらもきっちりとターンオーバーし、一気に切り返しトライへ。

 結局、後半7トライの猛攻で52−7と勝負を決める。三洋電機は前半に九電の粘り強いディフェンスに苦しみながらも、セットプレーが非常に安定しており、後半に力の差がはっきりと出たゲームだった。


(写真1 九電ブレイクダウンでボールを支配)


(写真2 三洋ホラ二サイドアタック)


(写真3 九電前半執拗なDF)


(写真4 三洋攻守の基点ブラウン、クイックバス)


(写真5 九電ミラー豊富な運動量で攻守に活躍)


(写真6 三洋素早い攻守の切替)


(写真7 ハイパント互いに譲らず)

◎ 会見レポート
【九州電力キュウデンヴォルテクス 神田監督】
 前節に気持ちの入っていないゲームをしてしまった、今日はプライドを取りもどそうとのぞんだ、前半はよくディフェンスしたのだが、風上ということでキッキングゲームを想定したこちらのオプションどおり相手陣に入ることができず、またラインアウトでもプレッシャーをかけ切れなかった。 後半は三洋さん一人一人をきっちりと倒しきれずにつながれてしまった、残り3ゲーム全力で戦いたい。

【九州電力キュウデンヴォルテクス 川嵜キャプテン】
 前節の反省で、ディフェンスに徹して十分に渡り合っていくつもりであった。しかし、後半風上に回って「さあ、アタック」というところで攻め込みながらもターンオーバーを許し、失点するという悪い形になってしまった、もう一度、チームを建て直して残りの大事なゲームを戦っていく。

(ハーフタイムでの後半の指示は?)
神田監督:
 前半はキックチャージが3回あり自分たちの気持ちは入っている、アタックどころでしっかりと仕掛けて点を取っていこうという指示をした。

(三洋との違いは?)
川嵜キャプテン:
 アウトサイドでのブレイクダウンの仕掛け方が違う。ここがうちの足らないところだ。



【三洋電機ワイルドナイツ 宮本監督】
 決して軽い気持ちでのぞんだわけではないが、九電さんはトップリーグ残留がかかった重要なゲーム、果敢に向かってこられて、前半はしつこくディフェンスされた。後半は力の差をはっきり出す事ができ、結果的にこのようなゲームになった。

【三洋電機ワイルドナイツ 榎本キャプテン】
 今日は、自身はリザーブ、前半はミスも多くリズムに乗れなかったが、ハーフタイムでミスをしないこと、ボールを支配し続けるという意思統一をはかり立て直すことが出来た。

(前半の九電の厳しいDFで受けに回ったために3点刻みの硬いゲームになったのか?)
宮本監督:
 ゲームはどういう状況でも、まずリードするのが鉄則、3つ目のPGなどは地域的にも狙うべきショットだったと思っている、選択ミスではない。

(リーグ戦全勝でMSカップ進出を狙っているのか?)
宮本監督:
 格好をつけるわけではないが、特に全勝を狙ってはいない、一戦一戦良いプレーをしてそして勝ちたいと思っている。

榎本キャプテン:
 全勝は結果で一つ一つのゲームが大切、やるべきことは、毎ゲーム自分たちのラグビーを心がけてプレーするだけ。



(記事:廣島治  写真:長谷川昭男)

(広報担当者:村島 博)