ジャパンラグビー2007トップリーグ マッチレポート(花園)

 


2007トップリーグ第12節マッチレポート(花園)

 


 トップリーグ第12節、勝敗だけではなく勝ち点1点のやり取りが、MS杯4強入りと、一方ではリーグ残留を決める熾烈な展開となってきました。 そのような中、1月26日土曜日、近鉄花園ラグビー場で、コカ・コーラウェストレッドスパークス(CCRS) vs NECグリーンロケッツとトヨタ自動車ヴェルブリッツ vs 東芝ブレイブルーパスの2試合が開催されました。以下、そのレポートをお伝えします。

1月26日(土) 近鉄花園ラグビー場 12:00〜 KICKOFF
コカ・コーラ
ウェストレッドスパークス

27
19 - 14

8 - 21
NEC
グリーンロケッツ

35
1月26日(土) 近鉄花園ラグビー場 14:00〜 KICKOFF
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
19
0 - 3

19 - 14
東芝ブレイブルーパス
17
◎ コカ・コーラウェストレッドスパークス vs NECグリーンロケッツ マッチレポート
 8強のかかる9位CCRSと、4強に望みをつなぐ6位NECの双方負けられないゲーム。NECはFW戦に持ち込みたいが、CCRSは広いラインと長い飛ばしパスを使って左右にボール散らし、ボールを停滞させない、接点でもタイミングのよい球を出しNECのFWにモールをまったく組ませないゲーム展開。ファーストスクラムも前半10分までなく、NECが得意とするモール攻撃が見られない。CCRSI渕上のコントロールされたキックが冴え、前半9分CCRSLマークが先制トライ。その直後、NECも反撃、11分ラックからこぼれたボールをH辻が処理しL櫻谷に渡り同点。15分ゴール前のPKをタッチに出しドライビングモールから右にこぼれたボールをH辻が拾って突破しトライ、逆転。しかし、押されても冷静なCCRSはグランド幅いっぱいまで使ってボールを動かし、主導権をNECに与えない。25分には左ラックから右へ展開、タッチに詰まったところで意図して残っていたA蔵がトライ。同じように36分にもスクラムからの攻撃で得点。再逆転し19-14で前半を終わった。

 後半は1分、接戦を意識してDGで加点を狙うCCRSペースで始まった。しかし、15分になる頃から中盤のゴール前の攻防がこのゲームの見せ場となった、両チーム選手入替で体制を整えた。NECはどうしてもラインアウトからモールで押し込み得点をしたい。15分トライ。その後もNECは執拗にモールにこだわりNECの得点パターン作った27分、モールコラプシングでペナルティートライを奪った。一方CCRSは、シンビンも加わりBKのライン攻撃の結果が出せずボーナスポイントが遠のくが、最後までランニングラグビーを続け、ノーサイド直前に左スミに4本目のトライを挙げてスタンドを沸かした。GKは、決まればさらに1ポイント追加のプレッシャーのかかるところ、結果は無常にもポストに跳ね返され。CCRS 27-35 NECの8点差でゲームは終わった。CCRSにとっては、前半35分のインゴールノッコンをはじめ、取れるところで取れなかったことが最後に響いた試合だった。

(写真 NECはFWのパワープレイ主体に攻める。)








(写真 CCRSは、ピッチをワイドに使ったオープンラグビーを展開)








◎ 会見レポート
【コカ・コーラウェストレッドスパークス 向井監督】
 前半、できるだけFWから遠い外側での勝負を意図したが、その策が当たってトライに結びついた。しかし、相手のあせりに付け込んで加点できなかったのが後から考えると大きい。シンビンを出した後、モールドライブでトライされたが、NECのモール攻撃は想定済み、それだけにとれるところでとれなかったのが痛い。後残り1試合となったが、修正するべき点を修正し頑張りたい。

【コカ・コーラウェストレッドスパークス 山口キャプテン】
 ホームとも言える花園で多くのファンに来てもらい、勝ちたかったが、力及ばず残念である。結局はFW勝負と指示されていたにもかかわらず、NECのモール攻撃に対応できず2トライをとられた。それがこの試合の反省点であり、残り1試合に向けて修正していきたい。

(最後にトライをとり1ポイントとった、そのことについて?)
向井監督:
 1ポイントは確かにうれしいが、早い段階の取れる時に取っておきたかった。チーム全体としては、今になって良くなってきたと思っている、レベルアップの手ごたえは確かにつかんだ。

(FWプレイについては?)
山口キャプテン:
 NECは緻密なスカウティングをするチーム、その相手にラインアウトなど五分に戦えたのは収穫だ。



【NECグリーンロケッツ 細谷監督】
 東芝に勝ってから、残り全て5ポイント取るのが4強入りの条件だった。前半はセットプレイが不安定で、苦戦した。しかし、ハーフタイムの指示に対し選手はよく理解し使命感を持って対応してくれた。薄氷を踏む勝利であったが5ポイント取れたことを喜びたい。この勢いで来週に向けて頑張りたい。

【NECグリーンロケッツ 浅野キャプテン】
 勝つには勝ったが、試合内容に満足してはいない。5ポイントとる意味はプレイオフで戦えること、チャレンジャーの姿勢に乏しい。選手一人一人の働きがまだ満足するべき水準に達しておらず、何をするべきなのかをもう一度認識し直して来週三洋戦にチャレンジしたい。

(コーラの印象は?)
細谷監督:
 コーラはラック周辺を攻めず、CTBにDFを引寄せさらにワイドに攻めるプラン、それに対してNECは、選手一人一人十分な働きができていなかった。例えば、最初に低く入った選手が完全に相手を倒すといったことだ。

(三洋戦に向けては?)
細谷監督:
 セットプレイ特にラインアウトを固め、ブレイクダウンでは、オフロードの危険はあるもののとにかく一人目が低く入り相手を倒すことだ。そして、余り人手をかけずに継続するようにしたい。





◎ トヨタ自動車ヴェルブリッツ vs 東芝ブレイブルーパス マッチレポート
 前半の20分間は膠着状態、両チームともすばらしい攻撃とデェフェンスで互いに譲らない展開、スタンドを埋めた観客はどちらが先に点を取るのか固唾を呑み、トヨタのスピード感ある早い動きと、東芝のディフェンスやターンオバープレーに釘付けとなり、大きな声援がポーズの度にため息に変わる。緊張が途切れるのは激しいコンタクトで選手が倒れたときぐらい。攻めるトヨタは結局トライが奪えず、前半13分糸口をつかもうとDGを狙うも失敗。東芝は攻撃権を得ながらも決定的な前進ならず、28分にPGを成功させたのみ。気がつけば前半は0-3で終わっていた。

 後半の得点シーンは印象に残るものとなった。3分トヨタは、東芝のラインアウトのミスから大きく前進し、ゴール前10m付近のラックからでたボールをH麻田がパスのタイミングをずらしN遠藤に巧みにパスし、相手FWが戻り切れなかった間隙を突いて中央に初トライ。その後I廣瀬(佳)は、風上を利用して11分にセンターラインと10mラインの間からPKを狙ったが、不成功。13分にも同じような位置でPKを狙う。スタンドからどよめきが起こり、プレイスキック、一瞬の沈黙、そして東芝のゴールポスト下でダイレクトにボールがキャッチされたとき、それはため息に変わった。

 その直後から東芝は攻撃に転じスタンドは歓声に包まれる。

 このような東芝の積極的姿勢からチャンスが生まれ、17分ハーフウェイ付近のラックからC-I-M-と縦につなぎ逆転。20分には廣瀬(俊)がディフェンスのいいN遠藤を振り切って追加点。この時点で流れは東芝に変わっていた。なおも攻める東芝は、27分頃トヨタ陣ゴール前でモールを組んだが、一瞬モールの前からトヨタの選手がゴールまで引いたように視界から消えた、この時すぐにボールを出せば良かったが反応が遅くオブストラクション。このPKから形勢が逆転、トヨタ廣瀬(佳)に変わったS黒宮が31分に得点し、3点差まで迫った。そして、ドラマは、33分、10mライン付近のラック、H麻田はラックから出たボールを2mもないライン際をすり抜け東芝FWの裏に出て直進、パントキックで東芝BKのタックルをすかさず回避、東芝BKも反転してボールを追うが麻田はワンバウンドで取ってなお前進、ゴール前でR阿部に好パス。トヨタ、東芝に対してトップリーグ初勝利を挙げるトライ。この後東芝ターンオーバーを繰り返し必死の攻撃を続ける、しかし、ホーンが鳴りノーサイド。

 4強を賭けた3位、4位の攻防は今シーズンのベストと言えるほど見ごたえのあるゲームとなった。


(写真1 トヨタ、ワイドに展開)


(写真2 トヨタ、サイドアタック、東芝も素早く反応)


(写真3 東芝BKのスピード)


(写真4 トヨタを勝利に向けてリードする麻田キャプテン)

(写真5 東芝伝統のモールドライブ)


(写真6 トヨタ縦突破を狙う)


(写真7 東芝、トヨタのスピードに厚いDF)


(写真8 東芝気迫のDF)

◎ 会見レポート
【東芝ブレイブルーパス 瀬川監督】
 応援に駆けつけてくれたファンにまずありがとうと申し上げたい。5ポイントを取って4強入りにはずみをつけたかったが、残念な結果となった。

【東芝ブレイブルーパス 廣瀬キャプテン】
 アウェイにもかかわらず、多くのファンに応援していただいた、感謝している。東芝のやりたかったプレイが十分できなかったと感じている、先週の敗戦から修正すべき点というのは分かっていたのだが、それが修正しきれなかった、その点が大変残念だ。

(トヨタに対してはTL初めての敗戦、何が変わったのか?)
瀬川監督:
 特に大きな違いはないと思う、結果としてスコアがこのようになっただけだ。

(次のヤマハ戦に向けて?)
廣瀬キャプテン:
 東芝がTLで連敗をしたのは初めてだ、今までは修正ができていた。今回の連敗を機にもう一度東芝の強みを出すようにしたい。



【トヨタ自動車ヴェルブリッツ 石井監督】
 リーグ戦で東芝に勝てたのはとにかくうれしい。もともと潜在能力の高いチーム、ここへ来て本来の力が発揮できるようになったが、次の試合もう一度チーム作りの原点に戻って全力で立ち向かって行きたい。

【トヨタ自動車ヴェルブリッツ 麻田キャプテン】
 東芝には、一回も勝てていない。今日の試合はとにかく勝利が第一、勝つことを目的に戦った。マイクロソフトカップに向けてプレッシャーはあったが、勝ててうれしい。

(ここに来て連勝が続く、好調の理由は?)
石井監督:
 もう勝たないと後がないという状態の中で、本来の力が出てきた。そのような状況に追い込まないと勝てないというのは、コーチングスタッフの責任かもしれないが、能力的には高いものを持っているチーム、それを発揮して行きたい。



(記事:長澤孝哉、村島博  写真:長谷川昭男、長澤孝哉(ただし、第1試合会見記録))

(広報担当者:村島 博)