ジャパンラグビー2007トップリーグ マッチレポート(磐田)

 


2007トップリーグ最終節マッチレポート(磐田)

 


 4強の椅子を巡る争いの決着がつかないまま、トップリーグも最終節入り。
 2月2日土曜日午後2時過ぎから、ヤマハスタジアム(磐田)で、ヤマハ発動機ジュビロVS東芝ブレイブルーパスの一戦が行われました。この試合のレポートをお伝えします。
 まず、試合の結果は以下のとおりです。

2月2日(土) ヤマハスタジアム 14:00〜 KICKOFF
ヤマハ発動機ジュビロ
21
7 - 26

14 - 13
東芝ブレイブルーパス
39


 この結果、東芝は、勝点47となり、4強への望みを繋ぎました。
 また、終盤からこの日を最後に引退するヤマハ村田亙選手が登場し、ファンの目にその雄姿を焼き付けてくれました。海外を含む長い選手生活と輝かしい活躍の歴史に心から拍手を送りたいと思います。

◎ ヤマハ発動機ジュビロ vs 東芝ブレイブルーパス マッチレポート
 晴れから曇天に向かう無風の中、試合は定刻を少し過ぎて2時4分、地元ヤマハのキックオフで始まった、この日も6000人近い観客が固唾を飲む。試合は序盤、型どおりのキックによる陣取り合戦となるが、早くも3分、東芝は、ハーフウエイ付近からC大野が抜け出し左中間にトライ(0-5)。
 しばらく膠着状態が続いた後の18分、今度は、ヤマハがラインアウト後のモールを押し込み左展開、Kマッコイドが中央にトライ、GKも成功し(7-5)と逆転する。しかし、ここから東芝の怒涛の反撃が始まる。23分H吉田朋生がモールサイドアタック左中間トライ、32分自陣からボールを?ぎE渡邉ポスト右にトライ、36分ゴール前スクラムをプッシュオーバーF中居トライ、いずれもGK成って東芝7-26と早くも勝点1を決めて折り返す。

 後半はヤマハがペースを取戻す。3分東芝の連続攻撃を凌ぎターンオーバーからN松下が右中間トライGKも成功し14-26と追撃。これに対し東芝15分PGを決めて突き放そうとするが、更にヤマハは21分にフェーズを重ねて最後再びN松下がトライ、GK成功し、21-29と追い上げる。しかし追撃もここまで、28分東芝は早い仕掛けから最後Jオトが中央にトライ、更にノーサイド間際にもPGを決めて21-39とヤマハを振り切った。
 そして、試合終了後、ヤマハ村田選手の引退セレモニーが行われ、東芝両チームとご家族から花束が贈られ、駆けつけた多くのファンからのあたたかい拍手がスタジアム一杯に鳴り響いた。


(写真1 鋭いステップから突破ヤマハ、マッコイド選手)


(写真2 力強いランを見せた東芝・廣瀬主将)


(写真3 試合後、ジャージを交換した村田選手とジュビロ磐田の中山選手)

◎ 会見レポート
【ヤマハ発動機ジュビロ 堀川隆延監督】
 まず、一年間ヤマハ発動機ジュビロに対し熱い声援を送っていただいたヤマハファンや会社の方々、選手、スタッフ、組織をサポートしていただいた皆様に感謝している。また、苦しい状況の中、キャプテンの木曽がしっかりとしたリーダーシップを取り、チームをまとめてくれた。厳しい結果となったが、チームが大きく成長した部分は多い。
 今日のゲームは勝つことが出来ず残念な結果だったが、一人一人が責任を果たしたことで、ボールを大きく動かし、いい形でのトライも取れ、ヤマハらしいラグビーをお見せすることが出来たのではないかと思う。その部分に関しては、選手達に自信を持って次のシーズンへ繋げてもらいたいし、チームとしても繋げるようにやっていきたいと思う。

【ヤマハ発動機ジュビロ 木曽一主将】
 まず、今日の試合がシーズンの最終ゲームという結果となってしまい、今日スタジアムへ来ていただいたファンの方々に申し訳ないと思う。また、一年間応援してくださったサポーターの方々、選手を支えてくれた家族やチーム運営に関わったスタッフの皆様にお礼を言いたいと思う。一年間、ありがとうございました。
 ゲーム内容に関しては、東芝と対戦するということでまずフィジカルな面で負けないように考えた。前半、少し受けた部分もあり先手、先手と取られたが、後半は自分達のラグビーがある程度できたかなと思う。ただ、今年のトップ4との差がいくつか出てしまったという部分があり、そこは、来年に向けていい宿題をもらったと思うので、また明日から身を引き締めやっていきたい。

(最終結果を見て、誤算と感じたところは?)
堀川監督:
 誤算というか課題は、セットピースの安定、ここがまだ足りなかったと思う。

(ここ何試合か、攻め続けている中でミスが出ることについて?)
木曽主将:
 相手のプレッシャーもあると思うが、簡単なコミュニケーションがとれていなかったといった自分達のミスが一番の原因だと思う。試合の為に練習するというが、練習の中でBチームの激しいディフェンスのプレッシャーに対してもいくつかミスが起こっていた。結果的に、それが試合にも出たと感じている。大久保グラウンドの練習を、もっと精度を上げていかなければというのが課題だったが、その部分にこだわりきれなかった。ただし、ラスト3試合は、非常にプレッシャーを受けるチームとの対戦で、少なからずその影響もあるのかとは思う。

(今年のトップ4との差は?)
木曽主将:
 一つは、セットプレーが不安定だったこと。自分自身は、ラインアウトに比べ、どちらかといえばスクラムが劣勢だったと思っている。セットプレーはラグビーの中で大事なプレー、うちのバックスは能力の高い選手が多く、そこで狂っていてはヤマハの強みをいかせない。それは、フォワードの責任であり、フォワードリーダーとしての責任も感じている。

堀川監督:
 ヤマハのゲームとしては、いきたボールがバックスに出てゲインラインを切って、クイックボールで展開するというのが理想の形。やはり攻撃の起点となる場所の安定なしに、ヤマハのラグビーはできないと思う。そこの精度を上げること、強さを備えていくことが大切だと感じている。



【東芝ブレイブルーパス 瀬川智広監督】
 ヤマハのファン、東京からも東芝ファンと、たくさんのラグビーファンが来て応援していただいたこと、その中でラグビーをすることができ、大変嬉しく思い感謝している。僕達は、マイクロソフトカップに進出すること、これだけを目標にしてこの試合に臨み、勝ち点5を取ることを優先にゲームプランを練った。そういった意味で、結果は嬉しく思っている。

【東芝ブレイブルーパス 廣瀬俊朗主将】
 まず、ヤマハスタジアムという素晴らしい環境で試合ができたことに感謝している。ラグビーのやりがいがあり、相手チームに不足はなかった。東芝としては、4トライを取ってしっかり勝つことが大前提だったので、前半のうちに4トライを取ってリードし、後半もできるだけスコアを重ねることができ、満足している。そして、2試合負けが続いたにもかかわらず、今日応援に来ていただいたファンの方には本当に感謝している、このことが一番に伝えたいこと、ありがとうございました。

(ここまで4敗したことについて?)
瀬川監督:
 去年は、去年のチーム、今年は今年のチームであって、それは対戦相手についてもいえること、全てが去年から一緒だとは思っていない。それに加えて、全チームが順位を競っているわけで、去年と比較してどうこうというのは難しいと思う。ただ去年の東芝と明らかに違うのは、失点が多いことで、そこがリズムを作りきれていない原因だと思う。我慢しなければいけないところ、勝負どころをこれからしっかり修正していきたいと思う。

(後半、PGを狙った後、次はPGを狙える位置からトライを取りにいったが?)
廣瀬主将:
 これからを考え、東芝の強みを考えて、どうしてもフォワードで取る、取りたいという思いを強く出したかったからだ。もちろんPGも考えたが、その時はフォワードにチャンスを与えた。その前のPGは、決めてセーフティの15点差になるので狙った。

(しかし結果を言えば、そのプレーでは取りきれなかった?)
廣瀬主将:
 あの後、一連の流れで最終的にオトが取ってくれた。取りきれなくても、攻める気持ちがあったからこそ、オトのトライに繋がったと思う。次のチャンスは、フォワードにしっかりとってもらいたいと思う。

(村田亙選手の引退については?)
瀬川監督:
 こういう形で村田さんが引退を表明され、また最終的にお互いがマイクロソフトカップへ進むための大切な試合だったということについては、やはり縁を感じている。私にとって村田さんはものすごく影響のあった選手の一人、私は7年も8年も前に引退したが、村田さんはラグビーを第一線で40歳まで続けてきた。そこは非常に敬意を払いたい。
 ただ今回、亙さんにスポットが当たり引退セレモニーが行われたが、東芝にもこの試合に負けたら引退する選手がいただろうし、ヤマハさんの中にも数名の選手やスタッフが去っていく、そう考えると複雑な思いがあった、と言うのが本音だ。

廣瀬主将:
 僕は、高校代表のフランス遠征の時、みんなでバイヨンヌへ行き、その時に村田さんを初めて見た。日本人でプレーしているのはすごいという思いはあったが、その後直接話す機会はなく、去年のセブンスの時に、村田さんがコーチをされていて、2人で話をし、指導も受けた。村田さんは負けず嫌い、僕が一対一で勝ったりすると、次は本気で来る。いつまでも、若くて、あの歳で情熱を持っているというのはすごく尊敬するし、最後の試合を一緒にプレーできて嬉しかった。

(ほぼ出場を確実にしたマイクロソフトカップへ向けて修正点は?)
瀬川監督:
 ディフェンスだ。ほころびが出来てしまうことを直したいということと、攻めで自分達が用意してきたプランが、相手のディフェンスや自分達のミスによって狂ってしまった時、もう一度基本に戻る、ということをやっていきたいと思う。

廣瀬主将:
 21点取られたこともあり、やはりディフェンスだ。後はここ2試合ぐらいの反省点だが、後半のゲームマネージメントを次こそは修正して、フォワードを楽にさせてやりたいと思う。





(記録:静岡県ラグビーフットボール協会広報記録委員会 写真:ヤマハ発動機晦.KUBO)

(広報担当者:村島 博)