マイクロソフトカップ セミファイナル マッチレポート(花園)

 


マイクロソフトカップ セミファイナル マッチレポート(花園)

 


 トップリーグレギュラーシーズンを終えて、いよいよトップ4がリーグの覇を競うマイクロソフトカップ、2月17日・日曜日、時折雪が舞う厳しい寒さの中、近鉄花園ラグビー場で、トヨタ自動車ヴェルブリッツ VS サントリーサンゴリアスの準決勝1試合が行われました。
 この試合は、大雪で順延された後、先週のリーグ最終節31対31で引き分けた因縁の試合の再対決、双方負けられない意地と意地のぶつかり合い。以下、そのレポートをお伝えします。

2月17日(日) 近鉄花園ラグビー場 14:01〜 KICKOFF
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
10
10 - 21

0 - 12
サントリーサンゴリアス
33
◎ マッチレポート
 風下に位置するサントリーのキックオフでゲーム開始。ゲーム序盤から執拗にラックサイドから突破を図るサントリーだが、NO.8クロフォードを中心に堅いDFを続けるトヨタの前になかなかゲインができない。4分 ならば、とトヨタ陣22m中央付近のスクラムから左展開、CTBニコラスがトヨタBKの裏へショートパント、WTB小野澤が巧みにバウンドを合わせキャッチ、好フォローのCTB平に繋ぎ中央にトライ(G成功0-7)。対するトヨタは接点で人数をかけず、左右に揺さぶる中で、クラッシュポイントに機動力のあるFWを絡ませ高いキープ力を武器に、ゲインを狙う。10分 サントリーゴール前5m、ラックから出たボールをトヨタSO正面がDGを決め3点を返すと、流れはトヨタに傾く。16分 LO谷口の力強いラッシュから得たチャンスを生かし、サントリーゴール前5mラックからFL中山が左中間に飛び込みトライ(G成功10-7)。ボールキープ力で優勢なトヨタに対し、サントリーは24分 HO青木が反則の繰り返しによるシンビン一時退場、14名での戦いを余儀なくされる。50/50パスも決まり、何度もビッグゲインするトヨタだが、サントリーのDFを破れない。34分、逆にトヨタ陣内10m付近ラインアウトから、サントリーは左展開、巧くライン参加したWTB山下がトヨタDFを突破し、CTBニコラス→FB有賀と繋ぎ、左隅にあっさりトライ(G成功10-14)続く38分、FL大久保の突破からトヨタゴール前に迫り、中央ラックから右サイドに出たSH田原が、CTBニコラスに繋ぎトライ(G成功10-21)。

 後半開始直後、サントリー陣22m付近でPGチャンスを得たトヨタだったが、タッチキックを選択、その後のターンオーバーでみすみすチャンスを潰してしまう。風上のサントリーは、ショートパントでトヨタBKの綻びを狙う。トヨタは前半でプレッシャーを受けていたFWの動きが鈍くなっていたこともあり、前に出るDFが外されしばしばピンチを向かえる。膠着気味だったゲームが動いたのは21分。ハーフウェイ中央付近のラックから左展開、交替出場のCTB野村からWTB小野澤→FB有賀と繋ぎトライ(G不成功10-26)。トヨタもあきらめず連続攻撃を仕掛けるが、ハンドリングミスでことごとくチャンスを潰すのに対し、サントリーはFW中心に密集付近のアタックを繰り返し、スローダウンを図るゲーム展開。結局34分にもNO.8竹本のトライでとどめを刺したサントリーが、昨年の日本選手権の借りを返し、3年連続のファイナリストとなった。


(写真1 サントリーFWボールキープ)


(写真2 サントリー、前半のサイドアタック)


(写真3 サントリー執拗なサイドアタック)


(写真4 トヨタスクラム低い姿勢でホールド)


(写真5 トヨタの厚いサポート)


(写真6 サントリー、モールドライブから隙を窺う)


(写真7 トヨタ展開から突破を図る)


(写真8 サントリー、ニコラス攻守の要として活躍)


(写真9 トヨタ、ブレークダウンから速攻)


(写真10 サントリーFWBK一体となった猛攻)


(写真11 トヨタBK攻撃の起点正面)


(写真12 サントリー後半竹本のトライ、フィニッシュ!)

◎ 会見レポート
【トヨタ自動車ヴェルブリッツ 石井龍司監督】
 完敗。サントリーの強みばかりが良く出たゲームだった。今季2度の対戦で課題が浮き彫りになったので、残る日本選手権までにしっかり修正し、強いトヨタをお見せしたい。

【トヨタ自動車ヴェルブリッツ 麻田 一平キャプテン】
 完敗だ。トヨタのラグビーをさせて貰えなかった。この悔しさを日本選手権で晴らしたい。

(戦い方について?)
石井監督:
 サントリーが、シンビンで1名少ない時間帯に得点できなかったことが 痛かった。後半もっとシンプルに攻めておけばよかったが、首脳陣が多くのデータを選手に落とし込んでしまい、結果、プレーヤーの意思統一が図れなかった。

麻田キャプテン:
 特に後半、サントリー陣に入ることができず、バックスがパスを無理に回しすぎたことでも後手を踏んだ。

(課題とは?)
石井監督:
 課題というか、我々の強みは突破力のあるバック3にボールを集中させることだが、今日はインターセプトを狙われていた感がある。どうやって生きたボールをバック3に繋いでいくかが前向きな課題である。

(同じサントリーと2週続けて戦ったが、違いを感じたか?)
麻田キャプテン:
 違いはあまり感じていない。前半サントリーFWにうまく時間を使われた。

(DFが悪かったように思うが?)
麻田キャプテン:
 BKのタックルが高く、タックルミスも多かった。



【サントリーサンゴリアス 清宮克幸監督】
 昨年(日本選手権)の借りを返すことができた。負けたら終わり、これを我々はファイナルラグビーと言うが、このファイナルラグビー下でのプレッシャーのかかった状況で勝利したことはうれしい。特にCTBニコラスの機転が利いたアタック・ディフェンスが大きな勝因だ。今季彼は怪我に悩まされたが、良く戻ってきてくれた。
山下は・・・昨日から体調を崩していたので気合いを入れたのだが・・・
(「良くなかったです。」と山下主将がコメント、場内爆笑)。
三洋電機も劇的な勝ち方をしたらしく、来週の決勝が楽しみだ。

【サントリーサンゴリアス 山下大悟キャプテン】
 トヨタ自動車に昨シーズンの借りを返せたことはうれしい。サントリーの進化を皆さんにお見せできたと思う。

(前半のピンチを凌いだ要因は?)
清宮監督:
 シンビンの時間帯の攻防が今日のゲームの全て。サントリーが凌ぎ切り、トヨタが攻め切れなかったということ。どちらが勝ってもおかしくないゲームだったが、サントリーが、ファイナルラグビーを強く意識したゲームをした分、上回った。

(BKのトライは容易だったが?)
清宮監督:
 まぁ、準備していたプレーが当たったということだが、トヨタのバックスDFを簡単にブレイクできたのは意外だ。強いて言及するなら前半からFWがプレッシャーをかけ続け、トヨタFWの動きを封じたということだろう。後半、明らかにトヨタFWの足は止まっていた。

(ゲームプランについて?)
清宮監督:
 前半風下だったので、前半は我慢、後半勝負の展開を予想していたが、前半終了前の2トライは嬉しい誤算だった。

(トヨタがBKプレーヤーのポジショニングを変更したことについて?)
清宮監督:
 予想外。ここまで巧く事が運んでいたのだから、普通は変更しないだろう。まぁ、今日のゲームの勝因はトヨタの強みを消したこと。次のゲームの決勝は全く考えず、トヨタ戦の事だけに集中してきた。リーグ戦終盤の3ゲームについては、ゲームを重ねる毎に戦い方が安定してきた。今日は今シーズンのベストと言える。このままの勢いで、三洋電機の全勝を止めたい。

(SO菅藤について?)
清宮監督:
 DFがチームで一番いい。チームメイトからは‘フランカー’と呼ばれているよ(笑)。ゲームメーカーというより、鋭いDFと言う彼の持ち味がよく出ていた。

(決勝への抱負?)
清宮監督:
 昨年以上の熱い戦いをしたい。満員のスタンドで、進化する我々サントリーのラグビーをご披露したい。

山下キャプテン:
 準優勝という昨年の悔しい思いを晴らしたい。優勝目指し頑張る。





(記事:廣島治 写真:長谷川昭男)

(広報担当者:村島 博)