ジャパンラグビー2008トップリーグ マッチレポート(大阪)

 


2008トップリーグ開幕(大阪)

9月6日(土) 長居スタジアム 17:00〜 KICKOFF
近鉄ライナーズ
43
21 - 7
22 - 7
横河武蔵野アトラスターズ
14
9月6日(土) 長居スタジアム 19:00〜 KICKOFF
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
43
0 - 0
20 - 10
NECグリーンロケッツ
14
◎ 近鉄ライナーズ VS 横河武蔵野アトラスターズ マッチレポート
 近鉄は、試合開始直後に先発右LO山本健太がいきなり負傷退場し、トップリーグ復帰緒戦から不安な滑り出しとなった。一方、横河は試合開始早々から近鉄陣内深く入り込み有利なグランドポジションで試合を進めることが続いた。試合が動いたのは、前半10分、近鉄が相手ゴール前10m右中間モールからBKラインで左展開し、FB坂本が左隅にトライ。難しい位置からSO重光がゴールも決めた。これ以後は、近鉄ペースの試合運びとなり、横河のPG不成功等にも助けられ、前半を21−7のリードで終えた。

 後半も近鉄ペースで、ルーズボールへのセービングによるターンオーバーからの攻撃、加えてSH金の素早い球出しで横河を寄せ付けず、最終的に43−14のスコアで、トップリーグ復帰第1戦を白星で飾った。  マンオブザマッチには、キャプテン、トンプソン選手が選ばれた。



    



  



    

 

◎ 会見レポート
【横河武蔵野アトラスターズ レオ・ラファイアリヘッドコーチ】
 アウェイの雰囲気に呑まれないようなプレーを意識したが、結果近鉄のペースだった。次節に気持ちを切り換えて臨みたい。

【横河武蔵野アトラスターズ 佐藤 幸士主将】
 力対力の勝負で相手が上。完全に力負け。空いているスペースにうまくボールを運べなかった。今日の敗戦でよい目標ができた。今後がんばっていきたい。

(ゲームの敗因)
ラファイアリHC:
 近鉄のプレーはシンプルだが、スキル・セットピースがしっかりしており、一枚上手だった。そのことはスコアに顕著に表れている。


佐藤主将:
 マイボールのアタックが単発過ぎた。ELVに沿って、立ってプレーすることを意識するあまりアタックに集中できなかった感がある。近鉄の分厚いサポートも脅威だった。


【近鉄ライナーズ ピーター・スローンヘッドコーチ】
 勝利はうれしいが、課題の多いゲームだった。プラン通りにゲームが進んだことはスコアボードが物語っている。ELVについては、レフリーもプレーヤーも手探りの状態だ。
 今日は、ラックでよくクリーンボールが出た。15人でボールをよく動かすことも意識できていた。
 ブレイクダウンの動きは成長の跡がうかがえる。今日ベンチ入りしたプレーヤーが全員出場できたこともいい経験になった。

【近鉄ライナーズ トンプソン主将】
 いいスタートが切れたものの、課題は多い。ELVについては、勝ったからいいんじゃない。来週もこんなコメントをしたいね。(笑)チームとしては、ELVに対応できていたと思う。

(ELV導入でラグビーが変わったか?)

 変わった。フィットネスを強化しないといけないと実感する。ただキックが多いのはネガティブな点だ。





◎ 神戸製鋼コベルコスティーラーズ VS NECグリーンロケッツ  マッチレポート
 神戸は、前半だけで反則数が13に及び、自陣ゴール前に釘付けとなり反撃の糸口を見出せない。そのような状態の中で、29分、35分と立て続けにシンビンを受け、13人でゲームを行う状況が前半の終了間際まで続いた。しかし、持ち前のディフェンス力で前半をしのぎきった。一方のNECも再三PGを狙う機会を得るもPGを狙わず、またFWに固執してゴール前5mのスクラムからプッシュオーバートライを狙う攻撃でも得点を得ることはできなかった。

 後半、神戸は、戦術を切り替え、FW付近での密集から離れることでスペースを有効に使い、4分に今期新規加入のFBデルポートのPGで先制した。
 以降16分には、HO松原、21分には右WTB大畑が、それぞれNECのパスをインターセプトし、いずれも50m以上独走しトライを上げ、17−0とNECを引き離し、神戸は勝利をほぼ手中に収めた。しかしNECも前年度の雪辱を期すべく27分にPG、31分にトライとゴールを決め、勝利へのこだわりを見せるが、37分に神戸FBデルポートがPGで止めを刺し(20−10)今シーズンの開幕を白星で飾り、勝ち点4を得た。
 マンオブザマッチは、攻守に活躍したデルポート選手であった。



  

    

    


◎ 会見レポート
【NECグリーンロケッツ 細谷 直監督】
 昨年の借りを返さなくてはいけないゲームだったが、残念だ。

(PGチャンスを狙わなかったことについて)

 NOT10mを狙ったアタックだったが、結実しなかったことで、前半のゲームマネジメントに微妙な狂いが生じた。神戸製鋼のFW2人が立て続けにシンビン処分になったことで、FW勝負を挑んだ結果だったが、判断ミスではない。あそこで取りきれなかったことが全てであり、後半全て裏目となってしまった。次節以降、この敗戦を引きずらないようにしたい。

(ハーフタイムでの入替は考えなかったのか?)

 前半の動きが悪くなかったので、入替は全く考えなかった。

【NECグリーンロケッツ 熊谷 皇紀主将】
 昨年のトップリーグ緒戦での敗戦を踏まえ、神戸製鋼をターゲットにして、プランを組み立ててきたが、気負いすぎた結果なのか、結局前半のチャンスでトライを取りきれなかった。ともあれ、気落ちはしていないし、次節を見据えて、下を向かずに臨みたい。

(なぜ取りきれなかったのか?)
細谷監督:
 状況をみるビジョンがなかった。ハーフ団や広い視野の持てないばBKの判断の甘さが、得点に繋がらなかった。

熊谷主将:
 シンビンで一気に有利な状況になり、一種の興奮状態に陥った。有利な状況でトライを取らねばと、逆にプレッシャーになり、焦ってしまった。



【神戸製鋼コベルコスティーラーズ 平尾ゼネラルマネージャー兼監督】
 緒戦であること、対戦相手がNECであること、様々な意味からも価値ある一勝だった。最高の出来のディフェンスで凌いだ。昨年と同じ一勝でも、内容は今年の方が良かった。昨年のゲームと比較して、レヴェルは確実に上がっている。
 昨シーズンは、今日のような辛抱の必要なゲームをことごとく落としてきただけに、私自身いいゲームだったと思う。辛抱の末に主導権を握った、観戦していて燃えるゲームだったよ。今日を最低限のゲームとして底固めして欲しい。

【神戸製鋼コベルコスティーラーズ 後藤 翔太主将】
 HB団は、結果的に途中交替となったが、ゲームに影響なかったということが、レベルアップの証である。今日の勝利は、プレーヤーは勿論、スタッフや応援いただいたファンの方々の力が結集した一勝だと思う。

(ノースコアの前半、圧倒されていたのでは?)

 前半、一時ではあったが、13人の状況で守りきったことは、疲れたものの自信になった。気力だけが支えだった。むしろ15人に戻った時に緊張感を失うことの方が怖かった。

(開幕直前の東芝ブレイブルーパス戦の惨敗と今日のゲームを比較して)
平尾GM:
 東芝戦はプレーヤーのかみ合せが悪かっただけ。今日はディフェンスに気迫が感じられた。ゲームの入りから内容が良かった。

(大畑のトライについて)
平尾GM:
 大畑に限らず、いいディフェンスができたことが今日の収穫。大畑も外へ追い込むディフェンスを献身的にしていたし、両アキレス腱断絶から再起を果たした。その意味ですごいプレーヤーだ。

後藤主将:
 大介さんは頼りになる存在。チームにとってかけがえの無い存在であることはもちろん、体を張ってディフェンスしてくれたことが勇気をくれた。





(記事:山林右二、廣島治 写真:長谷川昭男)

(広報担当者:村島 博)