関西大学Aリーグ

 


2012 関西大学ラグビーAリーグ
“シーズンを振り返って”

関西ラグビーフットボール協会大学委員会委員長 高見澤篤
 今年度の関西大学Aリーグには、前年度の天理大学のような圧倒的な戦力で勝ち抜いていくチームが無く、僅差の接戦が相次いだ。しかし、その中を抜け出したのは天理大学であった。  10月7日(日)近鉄花園ラグビー場での開幕戦、第Ⅰグラウンドは、第1試合で近畿大学が同志社大学との激しい攻防戦を制して、この対戦初の勝利を挙げた。第2試合も前年度優勝の天理大学に関西学院大学が高いモチベーションで挑み、最後まで勝敗の行方がわからない試合となったが、天理大学が辛くも勝利した。

 前年度の大学選手権で、天理大学は決勝進出を果たし、惜しくも優勝を逃したが、今年度の関西大学Aリーグでは、他のチームが天理大学戦の勝利を目標として次々と戦いを挑んだ。天理大学は、第5節、ディフェンスを充実させてここまで全勝の立命館大学と対戦、立命館大学に後半逆転されながらも巧みな試合運びで再逆転して勝利した。最終戦では大学選手権進出をかけて闘志みなぎる同志社大学の挑戦を受け、後半のロスタイムまでリードを許したが、最後は逆転トライを奪って勝利した。天理大学の7戦7勝のうち点差が1トライ以内の勝利は、実に3試合、天理大学は接戦を制する力をもってライバルを退け3連覇を達成した。

 今シーズンから、レフリーのコールがスクラムで簡素化されたり、「ユーズ・イット」の明確化など、試合の停滞を防ぐ措置が導入された。各チームのブレイクダウンの攻防にかける意識の向上もあり、試合のテンポはいく分か早まったように思う。一方で、開幕から6週連続でリーグ日程が組まれるなど、選手のコンディションからみれば反省しなければならない点もあった。その他にも、関西学院大学のアンドリュー・マコーミック氏のコーチ就任など、話題も多かった。

 ただ、ディフェンスを充実させた立命館大学が2位に入ったということは、関西大学Aリーグには、まだまだ創造や工夫の余地があり、リーグ全体が発展途上であることの証左と言えるだろう。大学選手権の制度が変更になったことにより、大学選手権の頂点を極めるには、リーグ戦7試合とセカンドステージ3試合以降を戦い抜くだけの層の厚い戦力をもたなければならない。今後の関西大学Aリーグには、戦力を充実させた各校が最後まで気を抜くことのできないハードな試合を重ねることで、選手もチームも得難い経験を積み、その経験がセカンドステージを勝ち抜くための「財産」となるようなリーグ戦の展開を期待したい。




2012 関西大学ラグビーAリーグ 最終戦
(近鉄花園)

12月1日(土) 14:00Kick Off
天理大学
32
17 - 17
15 - 12
同志社大学
29

◎ 天理大学 VS 同志社大学 マッチ・サマリー
 今シーズンの関西大学Aリーグは前節で天理大学の3連覇が決定した。最終節のこのゲームは、天理大が全勝で3連覇に花をそえるか、それとも、同志社大学が最終戦を勝利し、大学戦選手権の切符を手にするかがみどころである。

風上に同志社大が陣取り、風下、天理大のキックオフでゲームは始まった。同志社大は、7分に、ゴール前右中間ラックから左へ展開し、11番中村高大が左隅へトライし、先制する。しかし、天理大は、自陣10m左中間ラックから右へ14番宮前勇規がトライし同点に追いつく。その後、同志社大が2トライを上げ5-17とリードを広げ、同志社大ペースでゲームは進むが、終盤に入り天理大も2トライを挙げ、17-17と五分で折り返す。

後半開始早々、天理大がハーフウェイ右中間ラックから展開、14番宮前がトライし流れをつかむかと思われたが、同志社大は6分、21分といずれもゴール前ラックからFWが押し込みトライを重ねて22-29と逆転する。天理大にとっては嫌なムードが続いたが、25分にゴール前ラックから左へ展開し11番松井謙斗がトライし27-29と食い下がる、ゲームはロスタイムに入り同志社大が逃げ切るかに思われたが、同志社大ラインアウトからのボールを天理大が奪取し、連続攻撃を仕掛け、最後に14番宮前が右隅にトライを上げ32-29と逆転した。













[敬称略]
(記事:北畑幸二 写真:柳元啓志 広報担当:村島博)