女子三地域対抗戦

 


女子三地域対抗戦
関西代表 対 関東代表 マッチレポート

2013.12.21 瑞穂ラグビー場

 1年前、秩父宮での三地域対抗戦では、7人制代表選手をBKに揃えた関東代表に対し、防戦一方だった関西代表。タックルはよく止めた、と言っても、結果は関西の大敗だった。

 今年の三地域対抗戦は、7人制代表選手が対象外となったため、関東代表は若手選手が多くなった。対する関西代表も、関西代表候補選手の練習機会を増やし、合同ウェイトトレーニングなどを導入しFWの機動力に期待する。

 12時キックオフ。関西代表の出だしが良い。動きが軽くボールを動かしていく。関東代表は、そんな関西の様子見ながら、冷静にボールを確保しにくる。前半6分、攻めていながらの関西のオフサイド、関東ボールで中央付近からモールで仕掛けられ左へ、12番(神村)が持ちだして左中間へトライ。ゴールは不成功(関西代表 0-5 関東代表)。そのすぐ後、関西FWが巻き返しを図る。前半10分、ゴール前中央へ攻め入り、ラックから右へ持ちだし、2番(齋藤)から4番(加藤)へボールが渡りトライ。ゴールは不成功(関西代表 5-5 関東代表)。 関西のFWのギアが切り替わったように動き出す。関東も関西のオフサイドからマイボールを展開するも、抜けきれない。スクラムでは圧倒的に優位に立った関西。関東のオフサイドで関西はスクラムを選択。スクラムを起点に持ちだすが、惜しいところでオフサイドをとられる。前半21分、22m付近、関東ボールのスクラムから、関東10番(鈴木)のキックを関西7番(常盤)がチャージ。関西7番(常盤)から2番(齋藤)へつなげトライ。ゴールは不成功(関西代表 10-5 関東代表)。関西のFWの動きが非常に良い。関東はタックルでよくとめているが、自分たちのゲームをさせてもらえない感あり、それでもバラバラにならない辛抱強さが見える。前半36分、関西のFWが縦に攻め、ゴール前のラックで関東がオフサイド。関西8番(岡田)がそのまま持ち込んでトライ。ゴール成功しそのまま前半終了。
(関西代表 17-5 関東代表)。

 後半、関東代表は完全に切り換えてきた。集中力を発揮してマイボールを増やしオープンへの展開を図る。第2センターあたりで内へ切り込んでくる分、関東は抜け切れず、また、関西代表はマイボールにし、攻められた分の地域を取り戻すためにキックを使うが、そのあとの関東ボールに悩まされ、後半の関西マイボール率は非常に低いものとなった。
 後半25分が経過して、ようやくゲームが動いた。この時間帯、両チームともFWに疲労が見えてくるが、若手選手起用の関東代表は疲労が少ないように見える。そんな中、関東が敵陣へ深く攻め込んだ。ラックから関東10番(鈴木)が持ちだし、関西のディフェンスを切り抜けトライ。ゴール成功(関西代表 17-12 関東代表)。
 その後は、両チームとも譲らないゲーム運びとなる。ゲームも終了近い後半38分、関東10番(鈴木)が押し込んでトライ。ゴールは不成功(関西代表 17-17 関東代表)。試合終了まで残り1分を切る。関西ボールでFWが縦に大きく攻める。関東もタックルで応戦。ゴール前でのラック、関西の執念が上回った形で、関西2番(齋藤)がすっと抜けてトライ。ゴールは不成功(関西代表 22-17 関東代表)でノーサイド。時に長く、時に短く感じた40分ハーフだった。
 女子ラグビーワールドカップ予選を挟んだ三地域対抗戦へ向けての1年だった。関東代表、関西代表いずれもが日本代表に選手を送り出し、三地域代表の中核となる日本代表経験者達は、個々の気持ちの置き場所、チームの中でのモチベーションの維持に苦労があったことと思う。「勝つ」ことの大切さを実感させられたゲーム、「勝つ」ことの大変さを思い知らされた1年だった。関東代表は、若手選手起用するという選択で気持ち新たに、この三地域対抗戦に臨んだことだろう。一方の関西代表は、代表経験者と若手選手とを繋いだ新キャプテン大島の存在は大きい。本人自身、満身創痍ながら最後の最後まであきらめない強さと、選手一人一人に声をかける心配りを忘れなかった。関西代表は、今日の一勝で、ようやくスタートラインが見えたのかもしれない。

(番外)
 ゲーム終了後、瑞穂のグラウンドキーパーの方に声をかけられた。「いやあ、清々しい、美しい女子ラグビーだった。良いゲームを有難う!」ラグビーの縁の下の力持ちから聞けたこの言葉・・・「有難うございました!」深々と頭を下げた。














(記事:藤田有紀子 撮影:清水良枝)