第51回日本ラグビーフットボール選手権大会

 


第51回日本ラグビーフットボール選手権大会1回戦
マッチ・会見サマリー
(近鉄花園ラグビー場)

2月16日(土) 14:05Kick Off

   
筑波大学
26
 7 - 38
19 - 31
東芝ブレイブルーパス
69


◎ 筑波大学 vs 東芝ブレイブルーパス マッチ・サマリー

  昨日までの雨も上がり晴天の近鉄花園ラグビー場で、大学選手権3位の筑波大学とトップリーグ3位の東芝との間で第51回日本選手権一回戦が開催される。筑波大学は正月2日以来、一ケ月半ぶりの公式戦。一方の東芝はプレーオフトーナメントセミファイナルから2週間空けての一戦。

  前半、筑波大学の風下からのキックオフで試合が開始された。開始の序盤、東芝は筑波の大学生らしい溌剌としたプレーの前に様子見の装いであったが、7分自陣22mLからの展開で一気に筑波大学陣22mLまでに持ち込むとゴール前10m右中間ラックから左展開、12番CTB渡邊太生が左中間にトライを挙げる。GKも14番WTB大島修平が決め0-7と試合が動く。前半の筑波大学は、ディフェンスが前に出て東芝の攻撃をよく防いでいたが、東芝は手を緩めることなく14分には力の差を見せつけるようにスクラムトライ、18分にはセンタースクラムから左展開、12番CTB渡邊がラインブレイクし13番CTBリチャード・カフイがフォローし左中間にトライ。23分、29分にはいずれも左ラインからの展開で左WTBクーパ・ブーナが立て続けにトライを挙げ0-31と大きくリードを奪う。試合の興味は筑波大学がいつ一矢を報いるかにスタンドの注目が注がれる中、33分筑波大学が東芝のゴール前10mまで迫ると左展開、1年生SO山沢拓也が東芝ディフェンスの裏に絶妙のショートキックを放つと走り込んできた左WTB福岡堅樹が左中間にトライ。スタンドからは大きな歓声が沸き起こる。筑波大学の出足の早さに、時に東芝が受け身に回る場合が見られるものの力の差は否めず、この後、東芝が得点を着実に追加し7-38で前半を終了する。

  後半も先取したのは東芝。9分ゴール前35m中央スクラムから左サイドにSH藤井淳が抜け左WTBカフイに繋ぎ、この日3本目のトライをカフイが挙げる(7-43)。しかし、筑波大学はあきらめることなく、東芝陣内22mL右中間でスクラムを得ると、十分にサイン確認を行い、スクラムから出た球を12分SO山沢が意表を突きブラインドサイドにキックパス、右WTB山下一が着実にボールをとり右中間にトライを挙げ、14-43とする。トップリーガーの実力を見せつけたい東芝は、14分FB立川剛士、23分には2本目のスクラムトライと得点を重ね14-55とする。筑波大学も直後の25分キャプテンSH内田啓介がハーフウェーから左ライン際を駆け抜けトライを返し、21-55と必死に追いすがる。この後、東芝が27分、31分と得点、一方、1つでも多くトライを挙げたい筑波大学は、38分、東芝の反則を機に最後の反撃に出、速攻からSH内田が抜けフォローしたSO山沢がトライ、26-69と健闘したがここまで。東芝勝利で幕が閉じる。

  東芝ブレイブルーパスは平成18年度以来遠ざかっている日本選手権制覇に向けて一つ駒を進めた。筑波大学は、敗れはしたもののトップリーグ相手にクレバーに4本のトライを奪う学生らしい戦いぶりに花園のラグビーファンからは惜しみない拍手が送られた。




◎ 会見サマリー

【筑波大学 古川拓生 監督】
FW周辺のブレイクダウンにこだわりを持って今シーズンを戦ってきた筑波が、同じカラーの東芝に挑んだが、一歩も引かず東芝がやりたいことをさせなかったことは大いに評価したい。惜しむらくはセットプレーでもう少し踏ん張れば、というところ。とはいえ、学生は本当に素敵なものを残してくれたと思う。

【筑波大学 内田啓介 主将】
筑波大ラグビー部の歴史上、一番強いチーム・東芝と対戦、大敗したが、内容ある且つ楽しいゲームだった。今年のチームの集大成と言ってよい。

(ゲーム内容に手応えはあったか?)

内田:今、持てる力を全て出し切った。結果、セットプレーは通用しなかった。

(4トライを奪ったことについて)

古川:ひとえにFWの頑張りに尽きる。ただ、ボールキープが精一杯で、 そこから仕掛けられなかったことが敗因である。



【東芝ブレイブルーパス 和田賢一 監督】
厳しい寒さの中、多くのファンや会社関係者の方々にご来場いただき、また除雪等難しいグラウンドコンディションを整えてくださった関係者のご努力に感謝したい。なにより、素晴らしいゲームを展開した筑波大学に敬意を表したい。ゲームについては「受けてしまった」の一言。次週の2回戦までに今日の反省点をしっかり修正したい。

【東芝ブレイブルーパス リーチ・マイケル 主将】
まず、グラウンド整備に尽力してくださった大阪桐蔭ラグビー部の皆さんに感謝したい。ゲームは筑波大学の激しいプレッシャーに、いいリズムでのプレーが出来なかった。こうした点を修正して次週のトヨタ自動車戦に臨みたい。

(大学チームとの対戦の難しさ)

和田:コンディション調整の難しさは同じ。筑波大学は1/2の大学選手権準決勝以来の公式戦だし、我々も学生だからという意識も無い。プレーオフの結果を受けてパナソニック戦での修正を試みたが、結果受けてしまった。

(受けた原因とは?)

和田:慢心の一言。ラインの裏にパントを上げられた際の必死さが見受けられなかった。

(筑波大学FWの印象)

リーチ:強力な筑波大学FWに、アタックのリズムを狂わされてしまった。 後半ヒルがSOに起用されてから、テンポアップしたが・・・。

和田:ブレイクダウンでのプレーが良く訓練されているチームだという印象を持った。




[敬称略]

(記事:蜷川善夫、山林右二、廣島治 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)